レビュー

【79点】【JUDGE EYES:死神の遺言】は単なる「キムタクが如く」? 否、龍が如くスタジオ屈指の良作です! 評価・レビュー・感想【ジャッジアイズ】

タイトル(かな) じゃっじあいずしにがみのゆいごん
ハード PS4,PS5,Xbox Series X|S,PC
発売日 2018年12月13日
点数 79点(良作)
総評 ・しっかりと作りこまれたシナリオ
・龍が如くに負けず劣らず魅力的なキャラクターたち
・尾行はじめ、面倒な要素も…。



同シリーズの記事を見る

序文

「ジャッジアイズ」は龍が如くスタジオが手掛けるリーガルサスペンス・アクションゲームである。主役の八神隆之に木村拓哉(キムタク)さんを起用していることから、龍が如くにちなんで「キムタクが如く」という俗称で呼ばれることもある。

初リリース日は2018年12月(リマスター版は2021年4月)と少し前のゲームであるが、2023年8月15日からPSPlus(エクストラおよびプレミアムに限る)に本作の続編「Lost Judgement ~裁かれざる記憶~」が配信されるということになったため、まずは本作をプレイした次第である。

本レビューでは、「ジャッジアイズ」の良かった点、悪かった点について感想・評価を述べていく。なお、筆者のプレイ環境はPS5 リマスター版である。

全体感:世間の評判通りの面白い作品でした

かなり面白かった。

もし本作を「主演が木村拓哉(キムタク)さんだと物語に入りこめなくなりそう」など、何となく食わず嫌いしている方がいたら、ぜひ一度手に取ってみて欲しい作品だ。

では、個別に良かった点・悪かった点を見ていこう。

良かった点

しっかりと練られたシナリオと演出

筆者は「龍が如く」シリーズを初期から追いかけているが、「3」辺りから徐々にシナリオへの不満が出始め、「5」「6」あたりで不満がピークに達した。重要人物が大事なことを言う直前に亡くなるなどワンパターンな展開を用いた引き延ばしの連続、「そうはならんやろ」な言動の連発などで、シリーズの今後をかなり心配していた。

しかし、本作のシナリオはかなりしっかりと作りこまれている。
ゲームの導入から結末までがきっちりと一本で繋がっており、メインシナリオは最初から最後まで引き込まれ、中だるみがほとんど無かった。
リーガルものであることから、推理・サスペンス要素も含まれ、シナリオ進行と並行して謎解き体験を与えてくれる点も◎。

序盤からシリアス展開。目が離せない


演出面も、熱さや驚きが要所要所で組み込まれており、最後まで飽きずにプレイできた。
また、細かいところでは、主人公が弁護士でありながらも、探偵活動の一環として不法侵入、器物損壊といった様々な違法行為を(ゲーム上の都合で)行うことに対し、登場人物からツッコミが入ったりなど一応のケアがされている点などもクスリときて良かった。

また、ほとんどのイベント会話が、ボイス途中に手動送りできる形式が採用されており、テンポが非常に良かった点も好印象だった。

手動によるイベント会話送りが可能


なお、シナリオについては一部疑問符がつく点もあるが、それについては後述する。

魅力的なキャラクター

強烈なインパクトを持つ「龍が如く」のキャラクターが全く出ないということに対し、プレイ前は一抹の不安があったが、蓋を開けてみれば負けず劣らず魅力的な登場人物たちが揃っていた。

主役の八神は、モデルと声優が木村拓哉(キムタク)さんであり、特別キムタクファンというわけでもない筆者にとっては、「キムタク感」が強すぎると作品に入り込めなくなるのではと懸念していたが、予想以上(というと、プロの俳優に大変失礼だが)にしっかりと演じ切ってくれており、かなり魅力的な主人公だった。チンピラから弁護士になるほどの頭脳とヤクザ顔負けのケンカの腕を併せ持つ上にイケメン(モデルのせいだけでなく、設定上も)と、いささか設定を盛り過ぎな気もするが、それに恥じない見せ場とカッコよさが表現されていた。

ヤクザ相手にも一歩も引かない


主役以外の主要人物も軒並み個性的。相棒ポジションの海藤、杉浦のほか、八神を見守る源田法律事務所の弁護士たち、時に争い、時に共闘する松金組の組員や検察官たちなど、いずれもキャラクターとしての魅力に溢れていた。

筆者のイチ押し、松金組の東。


続編であるロストジャッジメントでもぜひ続投していただきたい。今からプレイするのが楽しみだ。

サブイベント・プレイスポット

「龍が如く」と同様、神室町では様々なサブイベントが発生するほか、プレイスポットで多様なゲームを楽しむことができる。

中でも特に印象的だったのはドローンレースだろうか。レースゲームとしてなかなか作りこまれており、思いの外ハマってしまった。

ドローンレース。これ自体は面白いのだが…。


また、サブイベントは「Side Case」と呼ばれ、探偵として取り扱う「案件」という立ち位置となっている。しっかり探偵(というより便利屋だが)している感があり、楽しめた。

ただ、一部サブイベント・プレイスポットについては不満がある。それらについては後述する。

問題点

全体で見れば非常に面白いゲームであった本作だが、いくつかの点で大きな不満もあった。続編「ロストジャッジメント」で修正されているかどうかを後日確認する備忘の意味も込めて、ここに記しておく。

「尾行」と「チェイス」

探偵業の一環として、ターゲットを尾行する尾行モードがあるのだが、これが非常に厄介な代物であった。

  • ゆっくり進みながら時折振り返るターゲットに見つからないよう身を隠しながら尾行するというもので、単調かつ冗長。ゲーム性が薄く作業になりがち。
  • そのような作業であるにもかかわらず、頻度が高すぎる。カウントはしていないが、メインストーリーだけでなくサブイベントまで含めるとトータル数十回くらいあったように思える。
  • ところどころチェックポイントがあるものの、もし失敗しようものならゲームオーバーとなり、直前のチェックポイントまで戻される。

とにかく「長い・単調・つまらない」の3拍子揃った非常に苦痛なモードであり、探偵として尾行をさせたいんだというコンセプトはわかるが、もう少しどうにかならなかったのか。やたら頻度が高いことも問題で、もう少しゲーム性をもたせるか、回数や長さを減らすか…本作の明確にマイナスなポイントであった。

尾行だけはホントに勘弁…。


また、ターゲットを追いかける「チェイス」も同様の問題を抱えている。ただ、こちらは尾行よりは頻度が低く、またスピード感があり1回の時間が短いため尾行ほどの苦痛ではなかったが。それでもカツラを追いかけるチェイスだけで3~4回あり、「もういいよ」とげんなりしてしまった。

シナリオ終盤の気になる点

シナリオは上記「良い点」で述べたように全体的に満足できる出来だったのだが、最終盤にかけての展開にやや無理があるように感じた。

ネタバレ注意(クリックで展開)
  • ラストの裁判の展開が強引すぎる。一ノ瀬が録音+羽村の証言程度で折れるとは到底思えない。敵サイドの諦めが全体的に早く、抵抗も少なく、ご都合主義に感じた。
  • その後、黒岩の暴走~生野死亡の下りも違和感を覚えた。黒岩は警察としての立場で創薬センターを訪れた後、八神に追われるや否や急に周りの人間を皆殺しするスタイルに変貌。生野がアドデック9を完成さえすれば全て帳消し…んなわけあるかい!とツッコミたくなるが、八神に「正気じゃない」と言わせることでこの無理があるムーブに無理矢理説得力を持たせているように感じた。八神に負けた後、隠し持ったナイフで生野を襲おうとするが、そもそも対八神戦ではナイフを使わず素手で戦っていたという点も気になる。
  • 生野がラストで自らに完成した(と思われた)アドデック9を投与し副作用で死亡する展開もやや違和感。もはや生野も半ば壊れていたのだろうが、わざわざ自らに投与する理由に乏しい。目の前に死にかけの黒岩がいるので、まずは彼に投与する流れが自然に思えそうだが。

全体的に終盤の駆け足感というか、強引に畳んでしまえ感が強かった点はやや残念であった。トータルで見ればとても面白かったが。

面倒なミニゲーム群

プレイスポットとして数々のミニゲームがあるが、一部ミニゲームは密接にイベントと絡んでおり、通常プレイにおいても半ば強制的にプレイさせられる点が残念であった。

  • 麻雀。橘ゆりかのフレンドイベントのために必要。割れ目で和了る必要があり、麻雀のルールを知らない人にとってはかなりハードルが高い。筆者は麻雀のルールを知っているが、なかなか割れ目が回って来ず、回ってきた際もうまく和了れず…とかなり苦戦した。
  • ポーカー。ガールフレンド「早乙女月乃」のイベントで発生。勝利そのものの難易度よりも、勝利条件が分かりづらい点が問題。1試合だけ勝てば良いのかと思いきやそのまま勝負が継続されたり、どのタイミングで勝利条件を満たすのかのアナウンスがなく、わかりにくい。
  • ドローンのレシピコード探し。セバスティアン・ハットンのフレンドイベントのために必要。神室町内に点在する2次元コードをドローンで撮影するというものだが、その数なんと50個。いくらなんでも多すぎる。スキル「2Dコードサーチ」により難易度が緩和されるが、撮影済の2Dコードがマッピングされないため、どこが残っているのかが非常にわかりづらく面倒。
  • ドローンレース。VRすごろくのフリーパス取得に必要。ドローンレース自体はよく作りこまれており面白いのだが、チャンピオンリーグを制覇するには前述の2Dコード探しやそれに伴うドローンの改造が必要な上に、レースの数も純粋に多い。また、失敗時にリトライするまでのテンポが悪い。前3つと異なり、直接的にクエスト類と絡まないのでプレイが半強制的とは言えず、オマケ要素と考えれば割り切れるが。

これらはいずれもメインシナリオのクリアには不要であるため、必ずプレイしなければならないものではない。しかし、特に前3つについてはフレンドイベントに関連するものであり、一般的なプレイでも関わることになる可能性が高い。フレンドを増やすことが新たなサイドケースの受注条件になっていたりもするので、もう少し遊びやすくても良かったのかなという印象だ。

テンポを損なう京浜同盟イベント

ゲーム中盤から発生する京浜同盟周りのイベントもかなり面倒であった。定期的に牛遊宴(焼肉屋)のキムさんから「京浜同盟が暴れているので幹部を倒してくれ」というメッセージが届き、一定期間神室町内に京浜同盟の幹部が出現。接触すると強制戦闘となる。

キムさんからのメッセージは、シリアスなイベントの最中でもTPOをわきまえずに割り込んでくるのでプレイに水を差されたような気分になるし、幹部の索敵範囲がそこそこ広く、望まぬエンカウントとなってしまうことが多く非常に面倒。討伐報酬も仙薬の材料であり、仙薬をそこまで作らないプレイヤーにとっては討伐のうまみが薄い。

このあたりも、キムさんからのメッセージは強制的に開かせるのではなく画面上にポップアップさせプレイに支障が出ないようにするとか、幹部の出現場所を工夫し、彼らのたまり場を作って能動的に倒しに行けるようにするとか、そのような仕様の方が遊びやすいだろうと感じた。

いいところでいつも入り込んでくるキムさん

総評

面倒な点も多々あるが、トータルではかなり面白いゲームだった。キムタクファンでもない身としては食わず嫌いでいた本作。もし同様の方がいたら、ぜひ一度手に取ってほしい。種々の問題点は続編「ロストジャッジメント」で解決されていることを期待しつつ、これからプレイしてみようと思

ジュドーさん
ジュドーさん
食わず嫌いは良くないね!歴代「龍が如く」スタジオのゲームの中でも屈指の良作だ!


COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です