レビュー

【51点】【クロノ・クロスリマスター:ラジカル・ドリーマーズ エディション】評価・レビュー・感想

タイトル(かな) くろのくろすらじかるどりーまーずえでぃしょん
ハード switch,PS4,Xbox One,PC
発売日 2022年4月7日
点数 51点(平凡・平均的)
総評 ・擁護不能の動作面の問題
・ストーリーとBGMは素晴らしい
・それ以外は問題が多い

序文

我々おじ世代の青春ともいえるスーファミ~PS2時代。クロノ・クロスはその中でも特に名作と呼ばれたゲームのひとつだ。クロスの前身であるクロノトリガーはリアタイでプレイしていた筆者であるが、クロスは学業に忙しく未プレイだった。心の中でずっと、プレイしたい名作としてリストに挙がっていた本作がリマスターされるという報せは朗報であった。

本作はリマスター化に伴い、エンカ制御や倍速など様々な機能が解放されているという嬉しい事前情報も入手し、ウキウキな気分でプレイし始めたのだが…。
ん?なんか…んん?という何とも言い難い違和感、プレイのし辛さを感じる場面が多くあり。

リマスターは、リメイクと比べて「大きな成功も得づらいが、失敗もまたしづらい」という印象を持っていたのだが、最近その考えが崩れつつある。リマスターは難しい。
本レビューで、筆者の感想をしっかりと伝えていきたい。

リマスターとして見た本作

正直言ってかなり厳しい。

まずそもそもの話として、フレームレートが終わっている。早い話がめちゃくちゃカクつくのだ。1秒間に処理されるフレーム数が少ないらしく、滑らかとはお世辞にも言えないコマ送りのようなプレイを強いられることとなる。

元々本作は1999年に発売された初代PSのゲームなので、現代と比べるとかなり動作が粗いゲームであるのは仕方がない。しかし本作のそれは明らかに異常ともいえるカクつき具合であり、倍速モードと組み合わせれば戦闘中などは何が起きているかの把握すら難しいレベルである。

エレメント使用時は特にひどい

一説によればリマスター版をPS5でプレイすると(つまり筆者のプレイ環境だ)初代PSのフレームレートすら下回るという検証結果も出ているらしく、何のためにリマスターしたんだ?と嘆きたくなる。

ところで、本作はリマスター化に伴いいくつかの便利機能が実装されている。
・エンカウント制御(敵のシンボルに当たっても戦闘にならない)
・ゲームスピード変更(通常、スロー、倍速の3段階)
・オートバトル(通常攻撃をオートで行う。エレメントは手動)
・バトル強化(自キャラが戦闘で強化される)
・画面比率変更

これらはシンプルに有難い機能ばかりであるが、どれもこれもイマイチ詰めが甘いのが勿体ない。

  • エンカウント制御は敵をすり抜けられるわけではないので、細い通路や行き止まりの多い本作では物理的に敵に通せんぼされてしまい、結局戦闘するハメになる。
  • 同じくエンカウント制御で、ストーリー上必ず倒さないと先に進めない敵シンボルにぶつかっても戦闘にならなかったりするので、戦闘必須の敵に気づかずに迷うことが時々ある
  • ゲームスピード変更は、低速、通常、倍速の3段階しかなく、倍速にするとかなり速いので制御不能になりがちで、曲がりたい箇所で曲がれなかったりなどの状況が頻発する。もう少し段階を刻めるようにしてほしい。
  • オートバトルは通常攻撃を機械的に繰り返すだけで、エレメントを使ってくれない上に弱中強の各種攻撃の使い分けも非効率的で、かなり戦闘に時間がかかる
  • バトル強化は敵の攻撃を全て回避する上にエレメントパワーが常時最大になるというものだが、バトル強化ボタンを押した瞬間にエレメントパワーがMAXまで回復するので、誤操作した際に一瞬でエレメントパワーが全回復してしまう。せっかくスリルある戦闘を楽しんでいたところに誤操作が発生するとかなり萎える。
画面上。プレイヤーは敵にひっかかり身動きがとれない。

その他、操作遅延もかなり酷いし、扉やアイテムなどを調べる際の判定が異常に厳しいのも問題だ。特に扉はあまりの開かなさに「もともと開かない扉なのか?」と勘違いしてしまうレベルで酷い。扉に身体をこすり付けながら何度も何度もボタンを連打することでようやく開いた扉の先に何もないとかなりげんなりする。人生を返してほしい。

全体的にパフォーマンス面が酷く、プレイヤーにとって快適な遊び心地を提供しているとは言えない。「リメイクでなくリマスターなんだから」という言葉を免罪符にできるレベルを完全に超えており、ハッキリいってまったく褒められた出来ではない。名作に唾を吐いた、と言われても仕方ないであろう。

蛇骨館の扉。開かな過ぎて笑えてくる

リマスター部分以外

とまあこのように、リマスター作品としての本作はユーザーが求める水準に達していないと言わざるを得ないのだが、それ以外の部分、すなわち、「クロノ・クロス」というゲームそのものへの感想も述べておきたい。

確かにすごいゲームだと思う。ストーリーは鳥肌モノで、かつ初見プレイヤーを驚かせる仕掛けに満ちている。「殺された未来が復讐に来る」というフレーズは前作「トリガー」への愛着が深いプレイヤーほど刺さるし、よく批判の対象となる前作のキャラクターの扱いについては、筆者としては特段気にならなかった。

トリックスター、ツクヨミ。かわいい。


元々多元世界をテーマにしているシリーズなので、数ある世界の中のひとつと解釈すれば本作「クロス」のような世界線があってもよいだろう。BGMもとても美しく、トリガーで人気だった時の回廊アレンジもあるし、OP曲「時の傷痕」はゲーム音楽史上に残る名曲として今なお人気だ。確かに、名作として根強いファンがいることも頷ける、魅力に溢れたゲームだと思う。

 

しかし、筆者はどうしても本作にハマりきれなかった。それはひとえに、本作における「仲間」の扱いにある。その点、詳しく語っていこう。

仲間について

本作は非常に多くの仲間キャラクターがいる。総勢なんと44名だ。とはいえ、私の意見では、本作における仲間の多さというのはむしろマイナス面に働いている。

本作や、あとは幻想水滸伝(仲間が108名もいる)シリーズにもいえるのだが、仲間の数が極端に多いゲームは大体ほとんどのキャラクターが加入後に空気化し、ストーリーに全く絡まなくなる。増えすぎた仲間を、物語が持て余してしまい管理できなくなるのだ。

本作はまさにその典型例といえる。44名のうちストーリーに絡んでくるのは甘く見てもせいぜい7~8名程度、メインキャラクターという枠でいえばさらに少ない。残りのキャラは、加入までにちらっと固有イベントがあるものの、加入したが最後、たまに使いまわしのセリフをしゃべるだけの人形と化すものがほとんどだ。その使いまわしのセリフも吟味されておらず、固有イベントでの口調と異なることも多くかなり違和感がある。

こんなにたくさん魅力的な仲間がいるのに…。

一部キャラクターはそもそも仲間になる動機自体が希薄で、命がけの時空を越えた戦いに参加する理由がよくわからない。「なんか心配だねェ…」という理由だけで初対面の主人公パーティに加入する中年のおばさん(拗ねている息子の代わりにボートを貸してくれただけの関係)が、最後まで戦闘メンバーとして加わる様は不自然極まりない。

とにかくキャラクターが多すぎるがゆえに一人一人の掘り下げが甘く、魅力的な設定やビジュアルのキャラクターが多いのに、それを活かせていない。管理や描写をしっかりできないならいたずらに数を増やすべきではないというのが筆者の持論で、これなら人数を半分にして掘り下げをもっと増やしてくれた方が100倍良かった。キノコとかカブとかママチャとかは無理に戦闘メンバーに入れず、サポート枠にしてもいいだろうに。

戦闘バランス

それでもせめてキャラごとの性能バランスが整っていたらまだよかったのだが、専用装備があるなどあからさまに優遇されているキャラクターがいる一方で、ステータスやエレメント属性に恵まれていないキャラもかなり多く、性能格差がすさまじい。

あからさまに優遇されているグレン。名前からして…

エレメントを使用するためには通常攻撃でエレメントパワーを溜める必要があるという仕様なので、結局通常攻撃が強いキャラが優位になりやすく、強力な専用武器グランドリームやイルランザーをもつセルジュやグレンが抜けて強い。

さらに後半になるにつれ、強力な敵のエレメント攻撃への対応のため、敵味方のエレメントダメージを半分にするマナフィ―ブルの利用機会が増える。そうなるとこちらの攻撃系のエレメントのダメージも下がるので、結局通常攻撃が強いキャラが強いよね、となりがちである。

さらに言うならば、戦闘メンバーが3人しかいない上に、1枠は主人公、もう1枠は「ぬすむ」の使えるキャラが入るので、実質的な自由枠は1つしかない。キャラクターを動かして楽しむ前にどんどん新しい仲間が増えていくので、キャラひとりひとりを使う機会が少なく、愛着が湧きづらい。結局強キャラ入れとけばいいよね、となりがちである。

また、こちらの攻撃中でも敵ターンがくれば攻撃が中断されるシステムのため戦闘テンポが悪く、爽快感を損なっている。弱→中→強と攻撃をつなげている途中で敵の攻撃が挟まるということは日常茶飯事。以上のことから、正直なところ、戦闘は面白くないし、バランスが良いとは言い難い。

総評 / 本作は駄作なのか?

これだけ問題点が挙がるならば、筆者にとって本作は駄作/クソゲーなのか?と自問自答する。確かにいろいろと酷いゲームなのだが、クソゲーかと言われるとそうでもないというのが複雑なところだ。

結局のところ、最初に述べたストーリーとBGM。それから、ヤマネコ、キッド、ツクヨミといった魅力的な主要人物による加点部分がすさまじく、先に述べた悪い点と相殺しあって、ギリギリお釣りがくるくらいの面白さはある。幸い戦闘テンポの悪さなどは、リマスター版の倍速モードなどである程度緩和できるし、それよりもいい点に目を向けたいよね、と思いたくなる魅力に溢れている。

ヒロイン、キッド。恋愛感を出さないのにヒロイン力が異常に高い描写が見事すぎる


偉大過ぎた前作「クロノ・トリガー」のその後を描き、またそのストーリー・コンセプトも見事であるからして、JRPG好きなら一度はプレイして押さえておいてほしいし、その価値がある内容だ。

ゲームとしての粗は目立つし、特にリマスター作品としては褒められたものではない。バランスも悪い。ただ、それでも1度だけはプレイしておいたほうがいい。ストーリーや展開にフォーカスした上で、いち物語作品・文化として押さえておきたいよね、という類のゲームだと捉えるとよいかもしれない。

ジュドーさん
ジュドーさん
リマスター作品として見ると酷い。でも、クロノクロスという文化はJRPG好きとして押さえておきたい。ストーリーはすごくいいよ!

POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    コメント失礼します。
    発売日忘れてて、購入前にレビューないかなと探して来ております。
    ラジカルドリーマーをずっとプレイしたかったので購入はしようと思っているのですが、本編のリマスターが残念なのは躊躇してしまいますね。
    たぶん、同世代で私もSFCトリガー、クロスを発売日に購入、プレイしてずっとファンなのですが…
    小耳に挟んだ情報でソース不明ですがリマスターは新人研修に使われるそうで、新入社員の仕事が反映されるそうですね。

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