レビュー

パラダイスキラー【65点】レビュー・感想

タイトル(かな) ぱらだいすきらー
ハード PC,switch
発売日 2021年08月20日
点数 65点
総評 ・オープンワールドを駆け、証拠探しをする楽しさ
・裁判は爽快
・移動面に課題アリ
・終わり方がスッキリしない

↓レビュー動画 ぜひ見てください!

序文

パラダイスキラー(paradise killer)は、2021年8月20日にsteamおよびswitchで日本語版が発売された、高難易度のオープンワールド×推理ゲームである。プレイヤーは捜査官「レディ・ラブ・ダイ」を操作し、パラダイス24号島で起きた殺人事件の真実を暴くことが目的である。推理ゲームにありがちな「洋館での密室殺人を閉鎖空間で捜査する」、などといった重苦しい雰囲気ではなく、オシャレで明るい雰囲気の中、やたら奇抜な恰好をした容疑者たちとコミュニケーションをとりながら美しい熱帯の島を捜査していく世界観がかなり独特で、プレイヤーを引き込んでいく。発売日当日から少しずつプレイをし、先日ようやく完全クリアをした筆者が、本作を余すところなくレビュー・評価・感想を述べていく。
なお、本記事の後半でガッツリネタバレをしている。特に重要なネタバレ箇所は隠しているが、プレイ予定の方は誤ってクリックしないよう十分にご注意いただきたい。
なお、特に強調したい点には、★マークを見出しに付している。

評価点

率直な感想として、このゲーム、非常に面白いということをまず伝えておきたい。

★オープンワールド×推理の相性は抜群

本作、序文でも述べたようにオープンワールド×推理というゲームジャンルである。

筆者の知る限り、多くの推理ゲームは、洋館などの閉鎖的な空間が舞台で探偵役の行動範囲もその中に絞られたりするものや、あるいはそこから外に飛びせるとしても、「〇〇へ行く」など行き先を選択して移動するに留まり、実質的には閉鎖空間で捜査しているのと変わらないタイプのゲーム(後者の例は「逆転裁判」などが該当する)が多い印象だが、本作はそのどちらでもない。

プレイヤーはパラダイス24号島という広大な島を自分の足で駆け回り、探索し、事件に関する手がかりを見つけていく。この、「広大な空間を自らの判断で行動し、好きな手順で捜査し、推理を構築していく」というオープンワールド×推理の相性がとにかく抜群なのだ。高所から落下した先などの思いもがけない場所に手がかりがあったり、秘密の隠し通路を発見した時の快感はすさまじい。

パラダイス24号島は南国風。美しい景色が特徴。


また、オープンワールドらしく、証拠を見つけきったかどうかの判断も含めてプレイヤー自身に委ねられており、プレイヤーはゲーム開始後からいつでも、好きな時に自分の判断で「裁判」を開始することができ、容疑者を糾弾することが可能だ。(しかし裁判は一発勝負のため、十分に推理を構築してから挑む必要がある。)

終了の判断も含めて、すべてを自分の責任で行う、そして勝負は一回きりで、後には引けない。このリアルなゲーム設計は見事である。

 

裁判が始まったら後戻りはできない。十分な証拠集めが必要だ。

★難解だが、非常に練られた世界設定

物語の前提は、ざっくり以下のような感じだ。

物語の舞台となるパラダイス24号島。24号島とは文字通り24番目の島である。

主人公含む物語の登場人物は神々を崇拝するシンジケートというグループの一員であり、永遠に近い寿命をもっている。
シンジケートたちが暮らす島には寿命があり、またその他諸問題のため、彼らは同じ島にずっと住み続けることはできない。彼らは何万年もかけて島から島へ渡り住んでおり、現在がその24番目の島というわけだ。

移住先の島は、「議員」と呼ばれるシンジケート幹部たちの瞑想により生み出されており、島は移住ごとに徐々に完璧なものに近づいていた。次回の移住先、25番目の島(通称、パーフェクト25)は完璧な島になる予定だったが、その島を生み出す瞑想中に、議員たちが皆殺しにされてしまう。これが本作において、主人公レディ・ラブ・ダイやプレイヤーが取り組むことになる殺人事件だ。

殺人事件には既に最有力の容疑者ヘンリー・ディヴィジョンがいる。ヘンリーは24号島の住民だが、シンジケートの一員ではなく、単なる庶民だ。ヘンリーは悪魔憑きと呼ばれ、元々罪人であったが、悪魔の力が暴走したことにより牢を脱獄し、此度の大量虐殺に手を染めたと言われている。しかしヘンリーの有罪は未だ確定しておらず、真犯人は別にいるかもしれない。プレイヤーは事件の真相を調査することになるのだ。

事件自体は殺人事件の調査というシンプルなものであるが、その背景にある世界設定がよく練られており、彼らの宗教観に理解までに時間を要するものの、非常に面白い。シンジケートたちは皆何万年も生きているため、外見も性格も独特で、一癖も二癖もある者たちばかりだ。「島の移住」「シンジケート」「神々と悪魔」などの概念に、序盤こそとっつきにくさがあるものの、数時間もプレイすれば十分に入り込んでいけるだろう。

終焉の証人。彼の言葉は特に難解だ。

癖が強すぎる登場人物たち

上述の通り登場人物たちは一癖も二癖もあり、とにかく奇抜な外見の者ばかりだ。主人公レディ・ラブ・ダイは現代にいてもおかしくなさそうなムチムチ美人であるが、その他のシンジケートは、真っ赤な骸骨、山羊頭のセクシー女性、モヒカン医師、乳首丸出しの羽根付き帽子男、仮面ライダーのようなマスクを被った妄信者などだ。彼らシンジケートたちが本事件の主要な容疑者であり、主人公の行う捜査に対し攻撃的な人物、友好的な人物、ビジネスとして接する人物など対応は様々。中には半分話が通じないような者もおり(というか大半がそうかも)、彼らとの会話が楽しみのひとつだ。

捜査を進めていくと、登場人物たちは皆、様々な隠し事をしていることがわかる。それらの隠し事は、事件の本質に迫るものだったり、直接的には関係のないものだったりと様々であるが、ほぼ全員何かしら腹に一物を抱えているので、進めれば進めるほど全員怪しく見えてきて、そう簡単には真相に迫ることができない点がとても面白い。

全員怪しく見えてくる。何を疑うかはあなた次第だ。

★推理は難解、しかし道筋は親切

本作の推理パートは、プレイヤー自身がオープンワールド内を足を使って調査し、登場人物から聞き込みをしたり、島内を調査したりしながら証拠を集めていく。入手した手がかりはノートパソコン「スターライト」に記録され、いつでも見直すことができる。プレイヤーは捜査の過程で膨大な情報を手に入れることになるのだが、それら情報はスターライトへの記録時に自動的に仕分けされ、カテゴリ毎に登録されるため、非常に見やすい。それだけでなく、「メモ」という形で今やるべきことに関するデータも蓄積されていくので、「やり忘れ」が起きないような配慮がされている点が非常に親切だ。事件の謎そのものは難解であるものの、解きやすくなるよう工夫・配慮がされている点は非常に好感がもてるし、重要な情報を手書きのメモなどで別途することなく、安心感をもって遊ぶことができる点が良い。

ノートパソコン「スターライト」はとにかく優秀。膨大な情報を見やすく整理してくれる。

★登場人物たちの「往生際の悪さ」がリアル

このゲームを評価する際にこの点を取り上げるプレイヤーは少ないと思うが、筆者にとってかなりの評価ポイントだ。このゲーム、登場人物との会話の中で、プレイヤーが容疑者に決定的(と思われる)物証を突きつけても、彼らが罪を認めることは基本的にない。例えば、以下のような具合である。

  • 犯行に関する電話をしている通話記録を入手して突きつけたところ、「通話記録が改ざんされている」と言い逃れをしてくる
  • アリバイが物理的にありえない距離を移動しているという試算をスターライトがしたので追及したところ、「スターライトが壊れてるだけ」と主張する
  • ヘンリーの犯行は物理的に不可能なはずだ、と指摘したところ、「あいつは悪魔憑きだから我々の知らない謎の悪魔パワーで何とかしてる」とゴリ押ししてくる

このような、一見往生際が悪そうだが「いや、でもゼロとは言えないな…」という言い訳によりプレイヤーは捜査に100%の確信をメタ的にもつことができず、最後は裁判ですべてを明らかにするしかない。容疑者たちが、何を突きつけてもトコトン「やってない」「自分じゃない」と主張する様がリアルで、非常に「それっぽい」のだ。

推理アニメなどで、ちょっとした物証を突きつけられただけで、すぐ容疑者が泣き崩れて犯行を認める、というようなシーンを目にしたことはないだろうか。筆者はそうしたシーンを見るたびに、いつも心の中で「自分だったらこういう言い訳するのになあ」とか、「いやまだ逃げ道はあるでしょ」とやや冷めた目で見ることがあったのだが、本作の容疑者たちは見事にあがき、言い訳し、往生際悪く逃げ道を探る。その人間的な感情の動きが非常にリアルで共感できるのだ。また、裁判で言い訳できないほど追い詰めると、すぐ他の容疑者も道連れにしようとしてペラペラ喋りだす点もポイントが高い。

「裁判」パートはすべての集大成!

オープンワールドを駆け回り、「自分の中で」推理が構築できたら、判事に話しかけることにより「裁判」へ移ることができる。裁判はこれまで収集した証拠をベースに、事件ごとに容疑者を特定し告訴していくもので、基本的には読み進めていくだけのものだ。しかし、このただ「読むだけ」の裁判パートから得られるカタルシスはすさまじい。というのも、それまでプレイヤーは10時間以上も広い島を駆け回り証拠を集め、容疑者たちに捜査オタクと言われたり、非協力的な態度をとられながら捜査を進めてきたわけで、「もう今更捜査とか必要ないでしょ」という空気感の中やや冷遇されてきたのだが、裁判パートはまさに無双。自分なりの真実を構築し、容疑者を糾弾することができる。これまで苦労して苦労して集めた膨大な証拠を一気に使って、容疑者と判事に突きつけていくのはとても気持ち良い。ただ読むだけの裁判パートだけで1時間くらいはかかる、といえば、本作における膨大な証拠の数が想像できるはずだ。

裁判では、事件ごとに怪しい人物を告訴していく。これまでの集大成だ。

というわけで、本作は、「難解な謎を、苦労して集めた証拠により解き明かす」ことによりものすごい達成感を得られるのが特徴であり、最大の長所であるといえよう。

問題点

ということで、非常によくできたゲームであるが、問題点や、つまらないと感じた点もいくつかあった。それらについて触れていこうと思う。

★オープンワールドというより「巨大迷路」

本作、「オープンワールド×推理」を掲げているのは上述の通りだが、移動面でのストレスがかなりあり、イマイチオープンワールドの良さを出し切れていないように感じた。
筆者の思うオープンワールド型のゲームの良さとは、すなわち、広大な世界を「ストレスなく」移動し、未踏の領域に足を踏み入れた時のワクワクが感じられるかどうか、というところに集約されるのだが、本作においてはこの「ストレスなく」という部分に問題があるように思う。以下、本作の移動ストレスにつき、個別要素に分解して見ていこう。

高所から落下しやすいうえ、リカバリー手段がない

本作は主にダッシュとジャンプを駆使して主人公を操作するのだが、ジャンプ時にやたら慣性が働いており、狙った場所に着地することが難しい。そのため、高所からかなり落下しやすくなっている。プレイヤーは崖登りなどの自由に高いところへ登るシステムはないので、一度落ちたらまた階段などを登り直しとなってしまう。レディ・ラブ・ダイのジャンプ力もやたらと低く、よじ登ったりするようなアクションは一切ないので、頑張ればそこ登れるでしょ、というようなちょっとした段差も登ることができず、なかなかストレスが溜まる。

「上」へ登る手段に乏しく、迷いやすい

前述の通り、プレイヤーのとれる「高さ」に対して働きかけるアクションはジャンプのみであり、そのジャンプ力も大したことがない。したがって、標高の低い場所を探索しているときに、かなり迷いやすい。特に入り組んだ地形の「庶民向けアパートメント」は、マップに慣れるまでは一度足を踏み入れるとなかなか脱出することができず、ならば高いところから見渡して脱出しようと思っても、通路の柵やフェンスが絶妙な高さでジャンプで超えられなかったりして、非常に疲れる。
本作は「推理」という大目的のためにオープンワールドを探索しているので、探索自体は目的でなく手段である。したがって、早く手がかりを求めたい、推理したいというプレイヤーにとってはこの迷路のようなフィールドはマイナスに働いている。迷って疲れるのは、ダンジョン探索ゲームだけで十分だ。

庶民向けアパートメント。2段ジャンプ習得前は特に迷いやすい。

 

見づらい地図

マップを開くためには、その都度スターライトを開いて「地図」を選択する必要があるので、まずここはワンボタンで開きたかったという点がひとつ。それから、肝心の地図がとにかく見づらく、地図として求める機能の水準に達していない。地図は島の全体像と各ポイントに関する簡単な説明があるのみで、「どこのポイントにどのキャラクターがいるのか」とか、自販機や宝石をはめる台座などといったギミックの地点などが一切記録されておらず、また、プレイヤーの東西南北の向きを知る手段もないので、今どっちを向いていて、どっちに向かえばいいのかが全然わからない点が非常に問題だ。最低限、どこにどのNPCがいるのかくらいの情報は欲しかった。地図周りのひどさは、誰もが感じるだろう。

地図はほとんど役に立たない
詳細視点モード中にダッシュができない

本作、switchでいうとZLボタンを押すことで、シンジケートたちの方角と距離がわかるモードに入ることができる。この機能はマップと比較して使いやすく、メインの移動手段はもっぱらこれを使うことになる。しかしこの機能の使用中は、なぜかダッシュをすることができない。したがって、ちょっと移動しては開く、ちょっと移動しては開く、を繰り返すことになるので、結局これも面倒だったりする。

ARモード。現在位置によってはキャラが重なる点も使いにくい。

★使いにくい上、有料のファストトラベル

本作には「お金」という概念がある。ブラッドクリスタルと呼ばれるものがそれだ。ブラッドクリスタルの入手は、基本的にフィールドに落ちているものを拾うしかないのだが、そこら中に大量に落ちているわけではなく、隠されているものが中心で、かつその数も有限だ。したがって、ブラッドクリスタルは1個であっても貴重なものだ。

一方、本作はファストトラベル機能がある。シンジケートの一人リディアに頼むことで、ワープポイント間を一瞬で移動することができるのだが、なんとこのファストトラベルの利用が有料。毎回貴重なブラッドクリスタルを1つ支払うことになる。
しかも、そもそもワープポイントを開放するのにもブラッドクリスタルが必要になるので、たとえば地点Aから地点Bにファストトラベルをしたいと思った場合、地点ABの開放で1個ずつ、移動でリディアに支払う1個、と計3個のブラッドクリスタルが必要になる。

ブラッドクリスタルは、クリアに一定数は必要だったり、他にも重要な使い道があるため(後述)、ファストトラベルに気軽に使うことはできない。結局、ブラッドクリスタルの節約のために走り回ることになるのだ。
このファストトラベルについては、ポイントを開放した後は、無料で飛べるようにしてよかったと思う。毎回お金をとるのは流石にやり過ぎで、ボリュームの水増しだ。

酔う

本作、主観視点で広いフィールドを探索することになるので、人によってはかなり酔う。前述したように迷いやすいことや、探索のために色々なところに目を向ける必要があることなどの理由により、特に酔いやすさに拍車がかかっている。また特に顕著なのが、先ほども述べた「庶民向けアパートメント」などに見られる螺旋階段で、頻繁に向きが変わるので非常に辛いものがある。一応、設定をいじることによりある程度の緩和が可能であるが、筆者はそれでもやはり酔ってしまった。(念のため軽く調べたところ、他にも本作の酔いに悩むプレイヤーが複数見られたことを記しておく)

ブラッドクリスタル不足と、「足湯」問題

本作、前述の通りブラッドクリスタルという通貨がある。進行においては、主に「自販機で飲料を買う」(スターライトのアップグレードができる)ことや、「クリムゾン・アシッドへ情報提供料として支払う」(いくつかの証拠が手に入る)ことなどが使い道として挙げられる。また、それ以外に、ファストトラベルで使用したり、ストーリー進行上関係のないアイテム(世界観の理解などができるもの)の取得のために使用したりなど、クリスタルの用途は多岐にわたる。
クリスタルを何も考えずに無駄遣いしてしまうとすぐに不足してしまい、フィールドに落ちているまだ見つけていないクリスタルを一生懸命探しまわる作業が必要となる。そうすると、だんだん推理や証拠集めじゃなくてクリスタルを求めて歩き回るゲームと化していき、「あれ、自分何やってるんだっけ?」という虚無感に襲われる瞬間がいくつもあった。やはりファストトラベルは無料にした上で、攻略に関係のないアイテムを入手する手段はブラッドクリスタル以外の通貨を別で用意するとか、そういう対応があってもよかったのかなと思う。

さらにどうしても言いたいのが、本作における「足湯ゲー」要素である。
何を言っているかわからないと思うので詳しく説明すると、パラダイス24号島には3か所足湯スポットがあり、ブラッドクリスタルを各5つ支払うことにより(ちなみに5つとはかなりの高額であり、集めるのはなかなか大変)、レディ・ラブ・ダイが新能力を習得する。習得する能力は、以下の3つである。

  • 2段ジャンプ
  • 空中ダッシュ
  • 瞑想(隠されたアイテムの場所がわかる)

そう、一見してわかる通り、どれも重要な能力だ。どのスキルも快適に遊ぶためには必須レベルであり、足湯には最優先でつかるべきなのだ。

しかし、足湯につかるとこんな能力が手に入るなんて誰が想像できるだろうか。ブラッドクリスタル1つすら貴重な序盤において、「ブラッドクリスタルを5消費して、足湯につかりますか?」などと聞かれたらだいたいの人は躊躇するか、そもそも手持ちが足りないかのどちらかだ。せめて、レディ・ラブ・ダイが、例えば「足湯に浸かると、何かいいことがありそうな気がする」とか匂わせたりとか、そういうヒントくらいはあってもよかったと思う。
もっとも、この足湯に関してはゲームの評価において直接的なマイナス要素とするほどではなく、ネタ的に触れている要素もあるのだが…。
つまり筆者が言いたいのは、ブラッドクリスタル使用の優先順位を間違えると割と致命的で、その割にはヒントに欠けすぎていて意地悪だという話である。

足湯。聡明なプレイヤーならば、セーブ&ロードを駆使して足湯の効果を確かめるだろうが…ヒントは少ない。

余談だが、足湯による効果のひとつ、瞑想はまさに「これだよ、これ!」という求めていた機能なのだが、効果時間が短かったり、セーブポイントとアイテムが同じ記号で表示されたりなど、絶妙に使いづらい。なぜこんな仕様にした…。

瞑想すると、アイテム類がハートマークで表示。ただしセーブポイントも同じマークで表示される。アイコンを分けてほしかった。

裁判における最後の展開(ネタバレ)

そして、筆者がどうしても書きたいのが裁判における一部展開だ。しかし、本項目は重大なネタバレとなるため、閲覧はご注意されたし。

ネタバレ(クリックで展開)

裁判の冒頭で、裁判官である判事は「どんな形であれ、関わった人間は全員死刑とする」と宣言している。
容疑者であるリディアとサムの夫婦は、主犯ではないものの、首謀者の指示によりキラーデーモンという殺人悪魔を入れた容器を運ぶ(なお、彼女らは中身がキラーデーモンであることを知らない)という罪を犯しており、彼らを告訴した場合、関わった者として死刑されることになる。
サムとリディアの夫婦はレディ・ラブ・ダイにとっては非常に付き合いの長い親友のような存在であり、彼らは、何万年もの寿命の中で同じ毎日が続くパラダイスでの生活を地獄のように感じていた。そこに付け込まれ、パラダイスから出してやると唆され、計画の全容を知ることなく共謀してしまった。結局、レディ・ラブ・ダイ(=プレイヤー)がとれる行動は、彼らを告訴し死刑とするか、気づかないふりして無罪とするかの2択なのだが、どちらも釈然としない。

  • 死刑とした場合、関わった者は皆死刑というルールにのっとってはいるのだが、首謀者や直接的に殺人を犯したものと同等の処分とするのは、心情的にはいささか気の毒にも感じる
  • 一方、見逃した場合は彼らは生存するが、ストーリー展開的には「気づいてて見逃した」のではなく「気づかなかった」扱いになるので、プレイヤーとしては不完全燃焼感が出てしまうし、そもそも彼らはパラダイスを地獄と思っているので、次の25島に行きたいわけではなく外の世界に飛び出したい彼らの目的は達成できず、引き続き地獄を味わうことになる。

裁判の場では見逃しつつ、後に個別で糾弾し追放の名目で逃がしてあげるとか、そういう展開も用意されててもよかったのかなと思う。サムとリディアを自らの手で処刑したことによる、ラブの心情に関するセリフなどが一切ないのも残念だ。

ちなみに、クリア後、サムとリディアに関する非常に意味深な一枚絵とメッセージが現れる(タップで表示。ネタバレ注意)ので、もしかして筆者がベストエンドを見られていないのか?とも思ったが、調べたところそうでもなさそうだ。ここについてはもし新事実が発覚したら、考えを改めることとなりそうだ。

また、微妙に残念なところであるが、本作のタイトルにもなっている「パラダイスキラーは誰か?」という質問に対し回答するシーンで、黒幕でなく実行犯を選択しないといけないのがやや盛り上がりに欠ける。(しかもその実行犯は、物語の当初からの登場人物ではない。)
その後黒幕を告発するシーンがきちんとあるので問題はないのだが、やはり本作のタイトルにもなっている「パラダイスキラー」が黒幕ではなく実行犯として定義されるのは違和感があった。

総評

オープンワールド型の推理ゲームという新しいゲーム体験を筆者に提供してくれた本作。その難しさと独特な世界観により、万人受けするゲームではないかもしれないが、好きな人にはトコトンはまる良作であり、面白い。プレイのし辛さを感じる点があり、そこについては明確にマイナス。また最後に述べた裁判~ラストの展開についてもわずかながらマイナスということで、「楽しめる良作」ラインの70点に乗せることはギリギリできないと評価した。しかし決してつまらないゲームではなく、プレイ中は時間を忘れて楽しめた点はお伝えしたい。
また、「問題点」の中でもっとも大事なのは移動周りのストレス要素。これを排除することは、もし同種のゲームを次回作るのであれば、マストであろう。

ジュドーさん
ジュドーさん
こういうゲーム、好き。癖はあるかもしれないが、良い面に目を向ければかなりの良作。ストレス要素はもう少し排除したい!

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