タイトル(かな) | くらいしすこあふぁいなるふぁんたじー7りゆにおん |
ハード | PS4,PS5,Switch,Xbox Series X/S,Xbox One,PC |
発売日 | 2022年12月13日 |
点数 | 82点(ぜひおすすめしたい) |
総評 | ・単なるリマスターに留まらない美麗グラフィック ・戦闘テンポ◎ ・ミッションが面倒 |
序文
クライシスコア ファイナルファンタジー7 リユニオンは、2007年にPSPで発売したオリジナル版のクライシスコア ファイナルファンタジー7 のリマスター版だ。リマスターとはいえ、グラフィック等はFF7リメイクに準拠しており、リメイクとの中間にあたるような作品である。
本作はFF7の前日譚であり、FF7リメイクのエンディングでも一瞬登場した「ザックス」が主人公であることから、このタイミングでの発売はFF7リメイクとの何らかの関係性を匂わせるものでは、と個人的に大いに期待していた。何ならシナリオがちょっと変わってたりとか、追加エンディングあったりとか…
(プレイ後に知ったのだが、メインシナリオに変化がないことは発売前インタビューで明言されていた。残念)
PSP版クライシスコアをプレイしたことのない筆者が本作を遊び、どのような感想を抱いたのか。本レビューで、しっかりとその良かった点、悪かった点を紹介していく。
なお、本レビューは本作およびオリジナル版FF7、FF7リメイクのネタバレを一部含んでいる。該当箇所は非表示にしてあるが、十分注意されたし。
良い点
「前日譚」として大変優秀な作品
そもそもCCFF7がどういうゲームかというと、FF7本編でも一部のイベントシーンで登場したソルジャー「ザックス」の人生を描いたものであり、FF7本編の前日譚にあたる。このザックスという人物は、FF7という物語において大変重要なポジションにあり、彼のバックグラウンドを知っておくことでFF7本編への没入度がぐっと高まる。本作は、外伝作品ではあるものの、れっきとしたFF7の本流を流れる作品であり、単なるスピンオフに留まるものではない。言うなれば、「FF7ゼロ」にあたるのがこのCCFF7なのだ。
したがって、現在プロジェクトが進行中の「FF7リメイク」をプレイ中の方は、ぜひ本作をプレイすべきである。後述するが、ゲームとしてもしっかり面白いので満足するはずだ。
しかしながら、プレイの順序は難しい。
オリジナル版のFF7をプレイ済の方は、迷うことなく本作をプレイすべきであるが、オリジナル版FF7を未プレイで、「リメイク」の第1作目のみをプレイした人は、まだFF7の物語全体を把握していないので、本作を購入すると重大なネタバレまたは置いてけぼりをくらう必要がある。
結論、まずはCCFF7リユニオンの前にオリジナル版FF7をプレイすることを強く推奨するが、さすがに今さら初代PSのゲームをやるのは厳しい…というリメイクプレイヤーの方々は、オリジナル版FF7をクリアせず、リメイク第1作目の後に本作をプレイしてもまあ大丈夫だろう、という具合だ。
ただ、これは筆者の予想であるが、FF7リメイク第2作目よりは前に本作をプレイしておいた方が良い気がする。完全に勘である。
とにかく本作は、FF7前日譚として優秀な作品であるという点をここでは強調しておく。
印象深いストーリー
ストーリーを深く解説してしまうとネタバレ塗れのため自重するが、ソルジャー2nd・ザックスの半生について描いた作品である。時系列としてはFF7の数年程度前なので、オリジナル版FF7に登場したキャラクターも数多く登場するし、セフィロスも神羅のいちソルジャーとして登場する。
ゲーム開始時のザックスはソルジャー2ndであり、当時のソルジャー1stたちが起こす問題に巻き込まれる形でゲームが進行していく。そのため、基本的にザックス=プレイヤーはゲーム中通して「巻き込まれた被害者」であり、運命に翻弄されつつも、その中で幸せに生きようと足掻き続ける姿が描かれている。
この辺りのストーリー描写は本当に見事で、引きこまれるものがある。特に終盤のあるシーンは未だにファンの間で語り続けられるほど印象深く、FF7プレイヤーであれば、ぜひご自身で体験いただきたい。
リユニオンによるグラフィックとBGM・ボイスの変化
さて、本作は前述の通り2007年のPSP版のリマスター作品であるが、グラフィックはほぼ刷新されており、「FF7リメイク」にかなり近い美麗なものとなっている。キャラクターの3Dモデルはじめ、背景やUIなどの全グラフィックデータが新たに作り直されており、リマスターといえど昨今の最新ゲームと比べても遜色ないクオリティに仕上がっている。
ムービーシーンについてはPSP版準拠となっているためやや粗いが、そもそもPSP版のムービーがめちゃくちゃ綺麗なためほとんど気にならない。すごい。
アクション要素強くも、とっつきやすい戦闘システム
戦闘は、回避やガード要素のあるアクションRPGだ。オリジナル版のCCFF7から一部操作性が変更されている。イメージとしては、「FF7リメイク」に近いが、更に少しだけアクション要素を強くしたというところ。PSP版からの変更点として、UIがスッキリし画面が見やすくなったほか、ワンアクションで様々な行動ができるようになったため、よりスピーディーな戦闘を可能としている。もちろんマテリアも装備可能で、最大6種類のマテリアを付け替え、様々なスキルが使用可能となっている。
また、CCFF7のオリジナルシステムとして、D.M.Wと呼ばれるランダム要素が存在する。戦闘中、画面左上にキャラクターの絵柄と数字が表記されたルーレットが常に回り続けており、揃った数字、絵柄に応じて様々なプラス効果がその戦闘中付与される。
数字が揃ったことによるプラス効果は、例えば、一定時間MP消費ゼロ、一定時間物理ダメージ無効、のけぞり無効 といったものがある。
また、絵柄が揃った場合は、揃った絵柄のキャラクターとなじみ深い強力なリミット技が使用可能となる。
D.M.Wの状況に応じて自キャラの立ち回りを柔軟に変えることで、戦闘を有利に進めることができる。このような頭を使う要素が一部組み込まれていることも、本作の戦闘システムの特徴だ。
CCFF7リユニオンの戦闘は、個人的にかなり面白い。プレイアブルがザックスだけなことが、逆に戦闘バランスを良くしており、適度な歯ごたえとテンポ、シンプルさが両立された爽快な作りとなっている。
もともとそこまで演出が長くないリミット技もきっちりとスキップできる点など細かいところも大変しっかりしており、敗北後、ノータイムで即座に再戦できる点も素晴らしい。
よくやらかしがちなのが、技演出がスキップできないことで折角の戦闘のテンポを損なっていたり、技自体は強力なのに演出の長さから使うことをためらうという本末転倒な状態になったり(演出の間に通常攻撃していた方が火力が出るとかね)するケースだが、本作はそういったことがほぼ無い。この点は地味ながら高い評価ポイントだ。
悪い点
さて、本作は非常に面白く、満足度も高かったのだが、元が2007年の、しかも携帯ゲーム機のゲームなので、気になる点も多くあった。それらについても触れていきたい。
「ミッション」がダルすぎる
本作、メインシナリオの他に、ソルジャーとしての仕事にあたる「ミッション」というミニゲームが大量に用意されている。これがとにかく単調で辛い。
- 各ミッションは色々と任務内容の名目があるものの、結局やることはミニダンジョンで最深部の敵を倒すという一点のみ。要は報酬つきのフリーバトルであり単調極まりない
- 1ミッションの所要時間は概ね3~10分程度で、総勢なんと300ミッションもある。ミッションには難易度が設定されていて、今現在クリアできそうなミッションをすべて消化してからメインストーリーに進もうとすると、数が多すぎていつまで経ってもメインストーリーが進行しない
- 報酬は各種アイテムやマテリアの他、マテリアやアクセサリーの装備個数の上限を増やすアイテムなどもある。報酬が貴重なものとそうでないものの差が激しく、どれを優先的にクリアすれば良いのか分かりづらい
- 道中の宝箱からも割と貴重なアイテムが手に入ったりするのだが、クリア報酬と異なり宝箱は何が入っているかわからないので事前に知ることができず面倒。そのうえ、宝箱はやたら見つけにくい場所に配置されており不親切
- 敵とのエンカウントが多すぎる。部屋の壁沿いを歩けば回避できるというPSP版からの小技があるらしい(クリア後に知った)が、そんな抜け道を用意しておくくらいなら初めからシンボルエンカウントにするか、索敵範囲を可視化するなどの対策を講じて欲しかった。
- 「今クリアできるミッションはすべてクリアしてから進む」タイプのマメなプレイヤーからすれば、ザックスが育ちすぎてしまい、メインシナリオの敵を瞬殺できてしまい歯ごたえがなくなる。いつメインシナリオを進めるかの判断が難しいので、もう少しミッションの数を減らしてもよかった。
ミッションについてはクリア必須というわけではなく、放置しても特段問題がないので、嫌ならやらなきゃいいじゃん、という考え方もあるのだが…。
とはいえミッションをプレイしないとあまりにもボリュームが不足しているし、初見では先にミッションにどんな報酬(特にマテリア)があるかもわからないので、プレイの要否の判別もつきづらい。
ストーリー性の薄い水増しミッションも数多くあるので、何なら半分くらいでも良かったのではないかと思う。さすがに多すぎる。
クラウド周りの不自然なストーリー演出
一部のストーリー上の演出が、プレイヤーの目を気にしすぎてやや不自然に映った。
特に感じたのはゲーム中盤、モデオヘイムでクラウドが初登場するシーンだ。
任務中にも関わらずタメ口でザックスと談笑する一般兵のクラウド…とまあ、そこまではザックスの親しみやすい人柄を表現するシーンとして良いのかもしれないが、その後の
ザックス「喜べツォン。俺と…」
クラウド「(ヘルメットを外して)クラウド」
ザックス「俺とクラウドがいれば、辺境の地は恐いもの無し!」
このシーンとか、いやいやそこでヘルメット外す?っていう。任務中に。
それまで他の神羅兵がヘルメットを取ったところを一度も見たことがないので、かなり唐突に見える。
この時点まではクラウドはただのヘルメットを被った一般兵のグラフィックで、他の兵士と区別がつかないわけで、プレイヤーに「ほらクラウドだぞ」と見せるための演出と理解できるのだが、あまりにもヘルメット外すまでの流れが不自然すぎる。
100歩譲って、自己紹介だから律儀なクラウドはヘルメットを外したとしよう。しかしクラウドはその後も同任務中はヘルメットを脱ぎっぱなしだ。繰り返すが任務中である。もう1人のモブ神羅兵は被り続けているのでかなり不自然。ツォンあたりが怒りそうなものなのだが。
プレイヤーにクラウドだと見せるとしても、例えば敵の攻撃を受けた拍子にヘルメットが外れるとか、もうちょっと自然な展開はいくらでもあると思うのだが、こういう細かなところで没入感を損なうのは大変残念である。
余談
ゲームの評価とは直接的に関係のない、とりとめのない感想を以下に記す。
とはいえ、この欲望の本質的なところは「クライシスコア リユニオン」側でどうにかしてほしいというよりも、FF7リメイクの続きを早くプレイしたいというところにかかっている。FF7リメイクの第2作目は順調に作られているようなので、楽しみに待っておくこととする。
総評
お世辞にも褒められない出来のリマスター作品が多く世に出回っている中で、クライシスコア ファイナルファンタジー7 リユニオン はリマスターの枠を大きく超えた、優れたゲームであると言える。PSP版をプレイ済みの方々が新たに購入するほどではないが、オリジナル版のCCFF7を未プレイの方で、かつFF7リメイクをプレイする方々にとってはマストバイであるといえよう。筆者は本作が2022年にクリアした最後のゲームとなったが、非常に良い締めを迎えられたことに満足している。
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