タイトル(かな) | あんだーてーる |
ハード | switch,PS4,PSVita,XboxOne,PC,スマホ |
発売日 | 2015年9月15日 |
点数 | 90点(傑作) |
総評 | ・熱量のあるシナリオとBGM ・瞬間最大風速は全ゲーム中でも屈指 ・心を揺さぶり、記憶に残るRPG |
序文
Undertale(アンダーテール/アンダーテイル)は、インディーゲームクリエーターであるToby Fox氏が開発したゲームである。日本での初リリースは2017年。元々はPCゲームであったが、対応ハードを増やし、現在はPS4,PS vita,Switchなどでのプレイが可能である。
「誰も死ななくていい、優しいRPG」というキャッチコピーは大いに話題となった。
本作を筆者がプレイした2021年12月時点では、既に多くのユーザーが本作をプレイ済であり、世間の評価は概ね固まっていた。SNSを中心に皆、口を揃えて「名作」と言う本作に、筆者も多少の興味はありつつも、「なんかどんでん返しある系なんでしょ、よくあるよね」とか「世間で流行ってるものって逆にやりたくなくなるよね」といった持ち前の悪いひねくれ癖のせいでイマイチ食指が動かなかったのだが、ゲームレビューブログを作るにあたり有名作品は一通りプレイすべきということと、また友人の勧めもありようやく重い腰を上げプレイするに至ったのだが…
詳細は後述するが、見事に裏切られた。もちろん良い意味でだ。斬新なバトルシステムに、ドットだからこそ活きるコミカルな演出と、要所要所での胸を熱くさせる展開、良質なBGM。周回を重ねることで変化する物語の展開と、周回ごとに増していく登場人物たちの魅力。
本レビューでは、そんなUndertaleの魅力と、一部の不満点を忖度なく伝えていく。
特にネタバレ要素の強い点は非表示にしておくので、適宜展開してご覧いただきたい。
また、例によって、強調したい箇所は見出しに「★」マークをつけている。
良い点
ドット絵により作られた独特の雰囲気
本作は他のインディーズゲームによく見られるような、2Dドットにより作られたRPG風のゲームである。古いフリーゲームの有名どころでいえば、「青鬼」「ゆめにっき」なんかをイメージしてもらいたい。ああいうテイストのグラフィック感だ。
しかしドットと侮ることなかれ。主要登場人物である地下世界の住民のドット絵はすばらしい出来で、たとえば「FF6」や「ロマサガ3」のような写実的なテイストではないものの、登場人物たちの多彩な感情の変化を見事に表現し、ひとりひとりのキャラクターを大変魅力的に描いている。
他方、主人公かつ操作キャラクターであるニンゲンの子供については、基本的にドット絵は一定。感情の変化により表情が変わることはない。糸目の無表情で、笑ったり、泣いたりすることはほとんどない。しかし、本作は周回を前提としたマルチシナリオ方式であることから、プレイヤーの選択したルートによって主人公の性格(人間性)も変化をしていく。そのため、プレイヤーの心の持ちようによっては、この「いつもの無表情」が、心優しき少年(少女?)に見えたり、不気味に見えたり、何も考えていないように見えたり…。主人公の表情に色付けをするのは他ならぬ我々プレイヤー自身である、という表現に成功しており、大変味がある。
★周回を前提としたマルチシナリオ
本作は、地下世界に落ちたひとりのニンゲンの子供を主人公とした物語で、地下世界の住人たちとの交流を描きながら地上(元の世界)に戻ることをその主目的とするものだ。
地下世界の住人たちは様々な思惑を胸に主人公に立ちはだかる。閉じ込めて地下で一生を過ごさせようとしたり、捕えようとしたり、あるいは命を奪おうとしたりしてくる。基本的にはそれらの敵を撃破しながらシナリオを進めていく、いわゆるRPGゲームのようなスタイルであるのだが、敵は倒さずに逃がすことも可能である。キャッチコピーの「誰も死ななくていい、やさしいRPG」たる所以がこれである。
そして本作は、主人公の行動により大きく分けて3種類の「ルート」に分岐することとなる。よくインターネット上で「Nルート」「Pルート」「Gルート」と呼ばれるものがそれだ。
ルートの詳細について語ることは野暮なのでしないが、初回はほぼ必ず通ることになるであろうNルートの後…2周目以降のPルート、Gルートこそが本作の本番と言っても差し支えない。とにかくこの2周目以降が、とてもよくできているのだ。
Pルート、Gルートはどちらも、プレイヤーが『極端』な選択肢を取り続けることによりたどり着くことができるルートだ。これらのルートを通じて、主人公は地下世界の真実に辿り着くと共に、登場人物たちの内面にもより深く関わっていくことになる。
その結果、プレイヤーを待ち受けるアップダウン激しい展開は鳥肌必至。心を強く揺さぶる
ゲーム体験となるだろう。
細かな作りこみと多彩な小分岐
また特筆すべきは登場人物たちのセリフの作りこみの細やかさである。本作は上述した大きな3つのルート分岐のほか、プレイヤーの行動次第で非常に細かな分岐/マルチエンディングが存在する。プレイヤーがゲーム中で何を成したか、その功罪のすべてがダイレクトに跳ね返ってくるため周回の楽しみが増すと共に、キャラクターと物語に深みをもたせている。また物語の進行に直接関係がないが、世界設定をより深く理解するための寄り道要素も豊富だ。
★魅力的な地下世界の登場人物
上記、ドット絵の項でも述べたが、本作の登場人物が大変に魅力的である。初見のNルートだと「いいやつっぽいけどちょっとうるさいな」とか「へえ、いいところもあるじゃん」くらいの印象なのだが、Pルート、Gルートを経て、より深く見えてくる彼らの内面。あまりに純粋なその姿に心打たれ、涙したプレイヤーも多いだろう。
★弾幕STGのような独創的な戦闘システム
本作のジャンルは大別すると「RPG」に分類され、移動中に敵とエンカウントし戦闘画面に切り替わるのだが、通常の戦闘とは異なる大変ユニークな戦闘システムとなっている。
敵の攻撃では画面下部に四角形の枠が現れ、その四角の枠内に「LOVE」と呼ばれるハートマークが表示される。ハートマークは枠内を自由に動かすことが可能で、同じく枠内に表示される敵の攻撃に当たらないようにハートを動かし、避けることで相手ターンをやり過ごすことになる。いわゆる弾幕シューティングゲームに近い操作感だ。
また、こちらからの攻撃は、通常のRPGにみられるような「たたかう」の他に「こうどう」というコマンドがみられ、「こうどう」では敵によって異なるさまざまな行動をとることができる。(例:なじる うたう はなす 等)
適切な行動をとることでモンスターの戦意を挫くことができ、戦意を失ったモンスターは「逃がす」ことが可能となる。「たたかう」で撃破したモンスターは死亡するが、逃がしたモンスターは死亡しない。「敵を倒す以外の選択ができる」「敵によって適切な選択肢を選ぶ必要がある」という点で、「真・女神転生」シリーズの悪魔会話に近いシステムであるといえるだろう。
そして、これら戦闘中の行動により、上述した「Nルート」「Pルート」「Gルート」のシナリオ分岐が行われる。したがって、自分がどういうスタンスで戦闘に臨むのかという点はプレイヤーにとって重要であり、それにより難易度が大きく変わることになるという面白さを秘めている。
また、作中における一部のボス戦は、初見では「理不尽極まりなく、クリア不可能」と思えるほどの衝撃を受けるが、何度も試行錯誤することで確実に上達し、クリア可能という絶妙なバランスとなっている。この達成感も、本作を名作たらしめているひとつの大きな要素だ。
全ゲーム中屈指!良質なBGM
また、本作を語る上で欠かせないのはBGMの存在だ。実際、ドットによる表現が秀逸であるとは言っても、それのみでは表現に限界がある。本作の名シーンを名シーンたらしめているのは、ゲームを盛り上げる熱いBGMの存在が大きい。本作のBGMは本当に素晴らしい出来で、「インディーズゲームにしては」というレベルでなく、他のどんな名ゲーム音楽と比較しても遜色ないほど、プレイヤーの記憶に残るものばかりだ。
ゲーム音楽の評価とは、それ単体のみならず、「どんなシーンで流れたか」「そのシーンに合っているか」という、「曲+ゲームシーン」のセットでどれだけプレイヤーの心に刺さったかで行われるものだと思っている。その点、本作のBGMは、本当に印象深いものばかり。曲を聴くと該当シーンが目に浮かんでくる。ぜひ、動画サイトなどでの視聴でなく、実際にプレイして、シーンとセットで体感していただきたい。
問題点
続いて、本作の問題点についても述べていこうと思う。とはいえ、元がインディーズゲームなので、正直なところ多少の粗は仕方ないともいえる。ここでは、プレイに際し明確に不満を感じた点だけ述べていくこととする。
周回要素に関して
本作は周回前提のゲームであることから、ゲーム側でもスムーズに周回できるためのケアがいくつも用意されている。その点は良いのだが、それでも不便に感じる点が数点あった。
- Gルートへの分岐条件である「各エリアで敵を一定数撃破する」というものについて。この条件設定自体は、Gルートのシナリオ根幹にも関わる部分であるため不満はないが、本作は「敵が出現するエリア」と「そうでないエリア」があり、それがゲームの情報では一見してわからない。元々エンカウント率の低いゲームなので、「今自分がいるエリアってそもそも敵が出るのか出ないのか、どっちだ?」という疑問を持ちながら辺りをウロウロすることとなってしまう。
そのため、規定数の敵を倒すまでにかなりの時間を要する。特に「ホットランド」「コア」での40体という数字はかなり多く、筆者は40体を達成するだけの作業で実に1時間以上かかってしまった。
- PルートやNルートでも、中盤に間延び感がある。特にホットランド以降、メタトン関連のイベントは回数も多く、アンダイン関連のイベントとは異なりアクション要素も少ないので退屈しやすいし、歌唱シーンなどはかなり時間を食う。一応、2周目ルートでは歌唱シーンをスキップすることができるが、それを知らないでボタンを連打しメッセージをスキップしていると、「歌を聞く」方を選択してしまって結局スキップできない、という事態に陥ってしまう。
とはいえ、基本的には周回に関し親切なケアがされているので、耐え難いほどではない。最も作業感の強いGルートでも、ウロウロする時間が必要な代わりにイベントの多くをスキップできるし、多くの人が2周目に経験するであろうPルートも、セリフの変化などがバリエーションに富んでおり思ったよりも道中の作業感が少ない。「あえて言えば」程度の問題点であろう。
総評
本作はなんというか、とにかく記憶に残るゲームだ。
「良いゲームとは何か?」を考えたとき、皆さんはどんな条件を思い浮かべるだろうか。
筆者の考えはこうだ。
良いゲームとは、プレイヤーに強烈な体験を与え、その記憶に刻みこむものだ。結局のところゲームとは娯楽であり、エンタメだ。人の感情に訴えかけるものだ。グラフィックも、ボイスも、BGMも、乱暴に言ってしまえばそのための過程であり手段に過ぎない。最終的には「結果」、つまりどれだけプレイヤーの心に強い爪痕を残すことができたかで、そのゲームの評価は決まるのだ。
その点、本作はボイスもなければ、最新のグラフィックを携えた作品でもない。細部に粗も見られるし、退屈な点だってある。しかし独創的なゲームシステムと魅力的なキャラクターが織りなすシナリオが紡ぐゲーム体験、練り上げた世界への愛を感じる細かな作りこみ。何よりPルート、Gルートの圧倒的な達成感と経験は間違いなく「記憶に残る」ものであり、一度3つのルートをクリアしたら最後、恐らく一生忘れることはないだろう。
ゲーマーであればぜひともプレイしてほしい。自信をもって勧めたい名作である。
私は・・・・・・クク・・・・
ぐわははははははは
アンダーテールは小ネタ・やりこみ要素が多く考察のしがいがあり史上最高のゲームだと思っています。曲はシーンなどだけでなく、同じフレーズが組み込まれている場合、必ずその曲と何らかの関連があります。アズゴアが代表的です。
問題点・周回要素に関してってとこ…Gルートを進もうと
ケツイを固めたのはお前、筆者自身だろ?なら文句を言うことは無い、そんなやらなくてもいい虐殺なんて…それで文句を言うなんて、ここの筆者ってやっぱり殺人鬼なの?
思うけど…人を殺す事がそんなに楽しいの?
ゲームと現実の区別をしっかりつけたほうが良いかと思います!
実装されている要素を一通り楽しみたいと思うのは、プレイヤーとして自然な発想だと思ってます。
自分もアンダーテールと別作のデルタルーンは大好きなのですが、やはり完璧なゲームなど存在せず、アンチが少なからずいるのは仕方ないのですが、アンテの場合、指示厨やアンテ信者が多すぎてうざいと言われています。作者のTobyさんは何も悪くないのに、そういうところも評価している人がいるのはすごく悲しい。
コメントありがとうございます。そのような点で批評されてしまうのは、悲しいことですね。
ごめんアンチかも。一応プレイはしたよ^_^、