レビュー

【81点】【ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤】スピンオフと侮ってはいけない、ドラクエシリーズ屈指の良作 評価・レビュー・感想

タイトル(かな) どらごんくえすととれじゃーずあおきひとみとおおぞらのらしんばん
ハード Switch
発売日 2022年12月9日
点数 81点
総評 ・ドラクエシリーズ屈指の良作
・広大なフィールドでの宝探しが面白い
・尻上がりに面白くなればなお良かった

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序文

元々本作が初めて情報公開されたのは、2018年11月ニコ生放送の「ドラゴンクエストモンスターズシリーズ成人式」であり、その時は「モンスターズ」シリーズの新作を開発中だという旨の発表であった。

それから徐々に内容が公開され、DQ10に登場した仲間キャラクターカミュと、その妹マヤを主人公とした宝探しゲーム「トレジャーズ」であることが明らかに。3Dのフィールドで仲間モンスターとの協力により宝探しを行うゲームとして、大いに注目を集めた。

筆者も非常に期待していたゲームの1つであったが、いざプレイしてみてどうだったのか。本レビューで、しっかりとその良かった点、悪かった点を紹介していく。

良い点

面白い!ドラクエの世界観と良質な探索ゲームの融合

本作は、ドラクエ11に登場した仲間キャラクター「カミュ」と、同作に登場したカミュの妹「マヤ」を操作し、広大なエリアを探索しトレジャーハントするゲームだ。

本作の最大の魅力は、エリア探索の自由度が、これまでのドラクエシリーズとは比べ物にならないほど高い点だ。
直近のナンバリングタイトル「11」でも広大なフィールドを歩くことは出来たものの、存在意義のないジャンプ、崖や壁などほとんどの障害物を越えることができず、用意された規定のルートを進むのみであった。

しかし本作は、(厳密には異なるものの)プレイ感としてはオープンワールドゲームのそれに近い。モンスターとの「探索れんけい」を駆使することで崖を強引に登ったり、地面に潜ったり、高所から滑空したりとかなり自由に進行することができるので、道なき道を強引に切り開いていくことができる。オープンワールドゲームにありがちな「遠くに見えるあそこ、行けるかな?」を、ドラクエシリーズで初めて実現しているのだ。コレが非常に面白い。

ドラキーに掴まって大空を滑空

フィールドには「トレジャー」と呼ばれるお宝が埋まっており、まずプレイヤーは「お宝コンパス」で大まかな距離と位置を把握する。お宝に近づいても、お宝は埋まっているためそのままでは場所がわからない。そこで、「モンスタービジョン」を使用し、連れ歩いている仲間モンスターの視点をジャックすることで詳細な場所を突き止め、掘り当てる。

モンスタービジョンで仲間の視界をジャック
お宝を掘り当てる。この時点では未鑑定状態で中身はわからない

掘り当てたお宝は、そのままでは「未鑑定」扱いでその正体がわからない。拠点で鑑定を行うことで正体が判明し、価格がつけられる。多くのお宝を探し、プレイヤーの「団」を大きくすることと、プレイヤーを導く精霊たちが求める「7つのお宝」を手に入れることが、本作の主目的だ。

これら一連の流れが非常に良く出来ており、かつ、ドラクエの世界観を損なうことなく自然に描写できている点がすばらしい。過去のドラクエ作品には久しくなかった、「冒険している感じ」が見事に表現できている。ゲーム性としては、筆者がこれまでプレイした過去のドラクエシリーズ…ナンバリング・スピンオフを含んだすべての中で最も面白く、のめり込めるものであった。

安定したパフォーマンス

また、パフォーマンス面がしっかりしている点も〇。大きな処理落ちなどもなく、遠方のNPCの動きもそれなりに滑らかでしっかりしている。ロード時間はやや長いものの、目立ったロード時間はエリア移動が入る時くらいなので、許容範囲といえよう。このあたりの安定感は、同時期に発売した某オープンワールドゲームと比較すると、あまりの出来に感動してしまった。

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ゲームプレイに必要不可欠!仲間モンスターの存在

また、本作は「モンスターズ」の流れを汲む作品として作られていることもあり、仲間モンスターの活躍機会が非常に多い。

モンスターは、戦闘により撃破したときに一定確率で「スカウト」状態となり、彼らの求めるアイテムを渡すことで正式に仲間に加入する。

彼らは上述の通り「探索れんけい」や「モンスタービジョン」でプレイヤーの進行を助けてくれるほか、戦闘要員でもあるため、カミュ&マヤにとって必要不可欠の存在である。

仲間モンスターは探索にも戦闘にも不可欠な存在だ

各モンスターは、それぞれ探すことのできるお宝の種類が異なるので、固定の1パーティを選ぶというよりも、その時々で探したいお宝の種類に応じてパーティを組み替えることがオーソドックスとなる。したがって、様々なモンスターに活躍の機会があるのが嬉しい。
また、パーティ外のモンスターをフィールドに派遣して宝探しさせることもできるので、パーティに選んだ3匹以外の仲間も腐りにくい点が嬉しいところだ。

そして何より面白いのが、仲間モンスターのボイスだ。
各モンスターにはボイスが割り当てられており、移動中に勝手にブツブツしゃべってるのだが、これがとても面白い。かわいい系モンスターにやたら低音の男声が割り当てられていたり、クィーンスライムやオークィーンなどの女性(?)系モンスターのボイスが妙にかわいかったりと聞きごたえ十分。お宝探しの道中、退屈しないためのスパイスとして機能している。

スラッ…スラッスラッ…

シンプルで直感的な戦闘

戦闘はナンバリングのようなコマンド式ではなく、一般的なアクションRPG。同社の作品だと(雰囲気は大きく異なるが)FF7リメイクにやや近い。操作キャラクターはカミュ(マヤ)のみであり、仲間モンスターはAI操作で動く。

カミュ(マヤ)は呪文を使用することはできないが、代わりに呪文と同等の効果を持った弾をパチンコで射出する「スリングショット」の使用ができる。敵への属性攻撃や、仲間の回復は主にこのスリングショットで行い、マヤ自身の回復は自身のMPを消費してセルフで行うことができる。

スリングショットで回復も攻撃も可能


戦闘の難易度はかなり抑えめ。前述の仲間モンスターの項でも述べた通り、本作はモンスターの入れ替えが頻繁に起きるため、パーティ内の仲間の性能が把握し辛い。そのため、固定の仲間を重点的に強化するようなプレイスタイルではないので、どの仲間を連れていても詰まないようにするための配慮であろう。とはいえ、終盤のボス戦ともなればそれなりに強い敵もおり、適度な歯ごたえがある点も〇。

ただし、戦闘にはやや難点もある。その点は後述する。

悪い点

さて、全体的に見ればシリーズ屈指の良作で、かつ大きな欠点もない本作であるが、若干の不満点もお伝えしていきたい。

序盤がピーク、だんだん尻すぼみに

最も気になった点としては、ゲーム全体を通して、シナリオが進行しても「できること」に大きな変化が訪れない点だ。

カミュとマヤの性能は基本的にゲーム開始時点で完成されており、レベルが上がっても新たなとくぎを覚えることもなく、各種ステータスが上がるのみ。

また、モンスターの探索れんけいも序盤で5種類すべて揃うため、終盤の仲間が新たな探索れんけいを覚えて行動範囲が広がるなどといったこともない。

さらに、大量にあるサブクエストの報酬がどれもこれもトレジャーばかり(しかも、大した価値がない)なので、キャラが強化されたり、新たなモンスターが仲間になったりといった特別なことはほとんど起こらない。主要NPCごとに用意されている「旅人クエスト」を全部クリアしても、特に何も手に入らない。

意味ありげに設置されている色のついた宝箱も、カギを苦労して手に入れて開けても中身はトレジャー。とにかくなんでもかんでもトレジャーばかりだ。

冒険や宝探しは面白いものの、出来ることが進行と共に増えて尻上がりにどんどん面白くなっていくというよりは、最初の感動がピークでそこからは平坦となってしまう点が非常に残念であった。

探索れんけい目的の入れ替えが面倒

また、大きく不便に感じたのが、仲間モンスターを連れ歩ける数の制限で、1回の冒険に使える探索れんけいの種類が限られることだ。

仲間モンスターは1度に3匹まで連れ歩けるので、同時に使える探索れんけい(全5種類)は最大3種類まで。うち、「ハイジャンプ」と「かっくう」は汎用性と使用頻度が非常に高いためほぼ固定で入り、残り1枠を「ダッシュ」「地面に潜る」「サーチ」を使えるモンスターの中から選択することになる。

ここで選ばれなかった2種類についてはその冒険では使えないのだが、これが非常に不便…というか、そのような制限をする必要性を感じなかった。

  • 「どれかを選べばどれかが使えなくなる」というのは、戦闘面での個性の色付けとしては悪くない手法だが、こと探索においては単なる不便要素にしかならない。実際、ダッシュを選ぶことで地面に潜れなくなったり、あるいはその逆の状況に陥るのは、シンプルに面倒くさいし面白くない。
  • モンスターを入れ替えるには拠点に帰らねばならず、ファストトラベル機能が貧弱な本作においてはややハードルが高い。
  • バランスの関係上連れ歩けるモンスターの数が3体が限度だというのなら、たとえば戦闘参加モンスターは3体にし、探索用で別枠で2体連れていけるとか、方法はいくらでもある。

ゲームにおける不便さというのは、それがプレイヤーごとの個性だったり、工夫の余地だったり、面白さを演出するものである必要がある。ただ不便なだけ、というのは不要な要素であるというのが筆者の主張だ。

移動手段が鉄道に依存しすぎている

本作、どこからでも任意のポイントに自由に移動できる「ファストトラベル」機能が基本的に存在しない。ファストトラベルの代替として鉄道があり、各マップに複数ずつ存在する駅と駅の間は自由に移動できるものの、駅までは徒歩で行く必要がある。(余談だが、そこで探索れんけい「ダッシュ」の重要度が増すのだが、前述の通りダッシュ持ちの仲間を常に連れていけるとは限らない)

また、駅間の移動ではないが、拠点に戻る手段は他にも2つある。保有している未鑑定のお宝を放棄する代わりに拠点に戻る方法と、「キメラのつばさ」を消費し未鑑定のお宝を持ったまま拠点に戻る方法だ。しかしいずれも行先が拠点のみな上に、前者は未鑑定のお宝を失ってしまう点、後者はキメラのつばさ(やたら貴重)を使用する点で無条件というわけではない。

本作はなぜかファストトラベルについてはやたら厳しく、プレイヤーに歩かせることに重きを置いているように思うのだが、正直そこまで歩くことにこだわる理由も感じられなかった。ただでさえ最近のドラクエは「ルーラストーン」の実装などで移動面をラクにしがちな傾向があったので、製作側の意図によるものであるのは伝わるのだが、やや不思議な仕様であった。

とにかく移動は電車。ちなみにこのムービーはスキップできない

微妙なテンポの悪さと硬直

いくつかの点で、微妙なテンポの悪さを感じた。

  • 戦闘時のカミュ(マヤ)の攻撃時の硬直が長い。意図的なものであろうが、ちょっと長すぎる。
  • 鉄道の出発・停車時のイベントシーンがスキップできない。移動の大半を鉄道に依存する本作では、なかなかのストレス要素。
  • 会話時の選択肢を選ぶ際などに、わずかな操作遅延がある。

使いづらい「派遣」システム

上述の通り、メンバーに入れていない仲間モンスターは「派遣」に出して自動でフィールドを探索させることができるのだが、この派遣システムが絶妙に使いづらい。

モンスターの見つけやすいお宝の種別と、エリアごとにその時見つかりやすいお宝の種別を合致させることで派遣の効果が上がるのだが、エリアごとの見つかりやすいお宝の種別はランダムで変動するため毎回派遣に出すモンスターの構成を変更させねばならず、非常に手間がかかる。派遣に出せるパーティ数が少ない序盤はまだしも、3パーティ、4パーティ派遣に出せる終盤になってくるとかなり時間をとられる上に、テンポを損なう。

現時点の空き仲間の状況から、「おまかせ」のような形で派遣に出す仲間モンスターを自動で決定してくれるようなシステムがあれば良かった。

戦闘における問題点

戦闘は上記「良い点」でも述べたように、普通にプレイする限りでは、パーティ構成をガチガチに整えたりする必要はなく、シンプルなシステム・難易度となっている。
しかし、一部仕様がややストレスとなり、楽しみ辛くしている。

  • 仲間AIの頭が悪く、敵の攻撃を回避しないためボス戦ではすぐにやられてしまう
  • スリングショットの弾薬切り替えUIがイケていない。

総評

悪い点も多く挙げたものの、筆者の感想としては現存するドラクエ作品すべての中でもトップクラスに面白いゲームであり、2022年発売ゲーム全体で見ても上位に入る出来である。ぜひシリーズ化していただき、「トレジャーズ2」をいつかプレイできることを心待ちにしている。

ジュドーさん
ジュドーさん
しっかり作りこまれた良作!仲間モンスターの種類が多ければなお良かった!

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