レビュー

【29点】【Angry Alligator ワニワニ大冒険】レビュー・感想

タイトル(かな) あんぐりーありげーたーわにわにだいぼうけん
ハード PS4,switch
発売日 2021年12月9日
点数 29点(苦痛)
総評 ・序盤の掴みに大きく失敗
・ワニになるというコンセプトは良い

序文

Angry Aligator ワニワニ大冒険(以下、ワニワニ大冒険)は、2021年12月9日にNintendo SwitchおよびPS4向けに発売されたオープンワールド・アドベンチャーゲームである。プレイヤーはワニを操作して沼を駆け巡り、小動物や人間を捕食しながら巨大ワニへ成長。人間から自然を取り戻すことを目的としてプレイすることとなる。

先にお断りしておくと、筆者は本ゲームを最後までプレイすることができなかった。
その理由は後述するが、単純にプレイに堪えなかった&プレイ酔いにより体調不良となったためである。
したがって、本レビューはプレイ中段時点までにおける簡易レビュー(プレイ時間にして10時間程度である)とし、採点は参考値という扱いをさせていただく。ご了承いただきたい。

良い点&悪い点

ゲームコンセプトはキャッチーなのだが…     

ワニになって生物を捕食し、巨大ワニに成長していくというゲームコンセプトは面白い。沼には様々な動物がおり、時折キャンプをしている人間などもいる。人間すらも捕食対象であるというのはゲームとしてはなかなか斬新で、惹かれるものがある。実際筆者の購買意欲も、そのリアルな世界観により掻き立てられた。

ワニになり切る。それ自体は面白いテーマだ。


しかし…

★操作性とカメラ位置に難あり

もっとも気になったのがこの点で、正直なところ致命的だなと感じた。
本作は操作キャラクターのワニを背後にとらえた3人称視点であるのだが、視点の高さがワニに合わせているため、カメラ位置がとても低く、とにかく酔う。めちゃくちゃ酔う。

上り坂では、このように視点が上へ…。


またワニ自体の操作性もかなり悪い。リアルなワニっぽい軌道ではあるのだが、「小回りが効かない」「旋回のレスポンスが悪い」など、獲物を捕食する際にフラストレーションがかなり溜まる。

「でもそれがリアルなワニの動きなんだから仕方ないんじゃない?」とも思われるかもしれないが、本作はそれだけでなく、妙なカメラの動きがプレイヤーを悩ませる。
向きを変えた後に、視点位置をデフォルトに戻すボタンがないので、方向転換をした場合は毎回自分でカメラを動かして視点を戻す必要があり、その割には求めていない時に勝手にカメラが動いたりして(狙ってないものに対しカーソルが移る)、とにかく視界の「コレジャナイ」感がすこぶる強い。

水辺から上がる時のカメラの動きが脳を揺さぶる


さらに、ワニ自体のスピードもあまり速くなく、ダッシュにもスタミナを要することも相まって、目的地に到達し辛い。

まあ、酔うかどうかは個人の三半規管の強さにも依拠するのでそこをストレートにマイナス点とするのは微妙なところではあるのだが、例えば「Ghost of Tsushima」や「パラダイスキラー」などのゲームは酔いを軽減するための設定が搭載されていたりなど、ゲームを楽しんでもらうためのケアがされている点は見逃せない。
それに、酔ったとしても、ゲームそれ自体に目を見張るべき面白さがあるならば、結局少しずつでもプレイは継続できるのだ(「パラダイスキラー」がそうだった)

しかし本作はというと…。

★オープンワールドの良さを活かしきれない

ジャンル的にはオープンワールドであるのだが、本作序盤における「沼」はオープンワールドの良さを活かし切れていないように感じた。

筆者が思うに、オープンワールドゲームの面白さとは、「遠くに見えるあそこに行ってみたい」「未踏の地には何があるのか」といったワクワク感を演出できるか否かにかかっている。その点、本作の「沼」は、マップを構成する各小島に配置されている「ミニゲーム」「トーテム」「捕食対象の動物」などのオブジェクトばかりで代り映えがなく、探索それ自体の驚きが少なく、ワクワクするという気持ちになれない。

やることが一定で、新しい驚きが少ない。


また、基本的にやることが「生物を食べて経験値稼ぎ」「落ちているアイテムの回収」「ミニゲーム」の3つに集約されるため、飽きがくるタイミングが極めて早い。
ゲーム中盤以降になってくればもっと増えてくる可能性もあるのだが、もっとも大事な序盤の「掴み」で失敗してしまっては、元も子もない。

公式を見ると、巨大ボスや牧場エリアなどもあるようなのだが、酔いとゲーム性の薄さにより精神を蝕まれ、そこまでたどり着くことができなかった。

視点以外の問題は、やはりこういったゲーム性の薄さだろうか。リアルなワニっぽさをシミュレートすることに重きを置きすぎて、肝心のゲーム性が薄くなってしまっているような。結局、逃げ惑う小動物を追いかけて食べて空腹を凌ぐだけで、こと序盤においては楽しいと思える瞬間が一度も訪れなかったんだよなあ、もう少しプレイしたら変わるのかな…でもこれ以上は厳しいな、というのを数回繰り返し、やはり変化がないなと感じてコントローラーを置いてしまった。無念である。

総評

クリアができなかったゲームは「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」「夕鬼」以来だ。そもそも未クリアのゲームを採点するのってどうなのという話はあるのだが、「飽きや操作性の悪さにより、プレイの継続自体ができなかった」ということならば、それも含めてゲームの評価であるというスタンスをとっているため、自己の責任で採点をすることとした。

思うに、こういったオープンワールド系ゲームは序盤の掴みが最も大事なのである。
例えばRPGによく見られるようなシナリオ重視のゲームならば、序
盤でつまらないと感じたとしても、「とりあえずクリアだけはしとくか」というモチベーションに繋がりやすく、それ故制作側としては尻上がりに評価を上げていくチャンスがある。(「モナーク」などがそれに該当する)のだが…。

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一方、過程そのものがゲーム体験であるオープンワールド型のゲームは、序盤に広大な世界と「これから」のワクワク感を与えることができるかが全てであり、ここでコケてしまうとそこから挽回することは極めて難しいというのが筆者の考えだ。

同じ動物のシミュレーションゲームである「ごく普通の鹿のゲーム DEEEER simulator」がかなり軽快な操作とテンポの良さがあり、探索のワクワク感をしっかり感じさせてくれたことを考えれば、本作はやはりそれには一歩劣ると言わざるを得ない。
(もっとも、あれはどちらかというとバカゲーの類であるので一概に同列には語れないのだが)



もう少しゲームとしての面白さを主張する部分、たとえば、もっとステルス要素を強くするとか、操作性を改善しアクション要素を強くするとか、探索要素を強くするとか、あるいはリアルに特化するならばもっと突き詰めるなど、何でもよいので、「ワニになる」以外のゲームとしての「強み」が欲しいところだ。

 

ジュドーさん
ジュドーさん
最後までプレイさせることもゲームの実力。次作に期待だ!

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