レビュー

ペルソナ5ザ・ロイヤル /ペルソナ5【88点】レビュー・感想

タイトル(かな) ぺるそな5ざ・ろいやる
ハード PS4
発売日 2019年10月31日
点数 88点
総評 ・こんな学生生活送りたかったと妄想させる楽しさ
・魅力的なキャラクター
・ロイヤルのエンディングさえよければ…

ペルソナ5 ザ・ロイヤル 通常版

価格:8,228円
(2021/5/17 20:33時点)
感想(31件)

序文

本作を大まかに言うと、ふとしたことから「怪盗」の力を手にした少年少女が怪盗団を結成し、巨悪と戦うストーリーである。主人公は学生としての生活と怪盗としての生活、二足のわらじを履き、両方の生活が相互に影響し合い成長していく。
この作品は間違いなく面白いのだが、その評価は非常に難しい。というのも、ペルソナ5(以下、無印という)の発売後、いわゆる完全版である「ペルソナ5ザ・ロイヤル」(以下、ロイヤルと表記)が発売されており、無印をプレイ済のプレイヤーがロイヤルをプレイした場合と、完全初見のプレイヤーがロイヤルをプレイした場合とでは大きく評価が異なる可能性があるからである。筆者は前者、すなわち無印プレイ済である。本レビューは、無印でのレビューをベースとした後に、ロイヤルに関する所感を述べる。

評価点

満たされる中二心と蘇る青春の日々

本作は原則として、朝~夕方は日常パートとして学園生活をし、放課後に異世界での怪盗生活という1日の繰り返しにより構成されている。序盤の主人公は前科持ちのヤバい奴として学園中から爪はじきされており、基本的に「ぼっち」として描かれるため、「学校/職場ではパっとしない俺が実はすごい能力を持っていて異世界無双」という多くの人が一度は夢見る妄想を叶えてくれると同時に、友人と出かけたり恋人を作ったりといった学園生活を堪能することができ、青春の追体験をすることができる。そして主人公のジョーカーのルックスが秀逸。モサモサ髪で眼鏡をかけており、野暮ったく見えるが、整った顔立ちでもあるという絶妙なラインを突き、「なりたいなあ、頑張れば俺でもなれるかな」と何となく自分に重ねたくなる…そんなビジュアルをしている。

日常パートもただゆるく過ごしていくわけではなく、活動を通じて協力者たちの信頼度を上げ、コープのランクを上げたり、人間パラメータ(器用さ、魅力など)を上げたりとやること満載で、効率よく進めるにはそれなりに頭を使う点も〇。そしてそれらの行動がすべて怪盗生活での能力に関わってくるという構成は見事といえる。

主人公(ジョーカー)主人公(学生)。眼鏡を外したらイケメン。

伝統的、されど新しい戦闘システム

アトラスのRPGに伝統的な「真・女神転生3」のプレスターンバトルにアレンジを加えたワンモアプレスバトルを採用している。敵の弱点を突くと敵がダウンし、「1more」が発生。追加でもう1度行動できる。全ての敵をダウンさせると「HOLD UP」状態になり、敵を脅したり、話をしてみたり、総攻撃を仕掛けたりすることができる。全体的にプレスターンバトルより難易度を抑えライトユーザー向けにしつつも、総攻撃の演出などで独自性をうまく出しており、世界観の演出に一役買っている。

スタイリッシュ、かつ簡単操作の怪盗アクション

怪盗として行動しているときは身体能力が上がり、壁などに張り付いて身を隠すカバーアクション、敵に飛びついての奇襲、ワイヤーを使って移動するワイヤーアクション(ロイヤル)などの各種行動ができる。これらの行動がいちいちスタイリッシュでかっこよく、怪盗として行動する際のテンションが爆上がりする。

魅力的なコープキャラクターたち

戦闘に参加するキャラクターはもちろん、戦闘に参加しない協力キャラクターも個性的で魅力的なキャラクターばかり。特に主人公が居候する喫茶ルブランのマスターである「佐倉惣治郎」、バンギャのようなダウナー系医師「武見妙」、女流棋士「東郷一二三」などは非常に人気が高い。協力者たちは基本的に怪盗としての主人公の存在は知らず、学生としての主人公と接することで絆を深めていく。異性のコープキャラクターとは絆を深めることにより最終的に恋人関係になることも可能で、最大10股も可能。10股した際のバレンタイン修羅場イベントは必見。

武見妙武見先生。美人。

考えさせられるストーリー構成

このゲームの基本的なストーリー構成は、社会などから虐げられた「反逆」の意思をもつ少年少女(ex:権力者に無実の罪を着せられた、育ての親からの虐待された等)が「ペルソナ使い」として覚醒。怪盗団を結成し、悪人の心の中の異世界にあるオタカラを盗むことで現実世界で改心させるという形で罪を裁く…ということを繰り返していくものである。改心の対象となる悪人は程度の差はあれど、生徒に虐待をする教師や弟子に絵を描かせ自分の名前で公表する画家、悪徳政治家など酷い人間、かつ権力者ばかり。表の方法で裁くことが難しい権力者を裏の方法で裁く、という物語は痛快。

また大衆の描き方が非常にリアルで、最初は純粋に怪盗団の行う「改心」を賞賛しているが、段々とそれに慣れを感じるようになり、中盤以降は悪人が出るたびに「怪盗団さっさと裁けやオラ、何やってんだ」という発言が飛び交い、裁かれない悪がいる=怪盗団の怠慢である という他責志向の論調となっていく。また怪盗団自体を単なる面白いコンテンツとして捉えるようになっていく傾向がどんどん高まり、怪盗団が敵の罠に嵌められた際は一瞬で手のひらを返し叩き始める、という心の動きは非常にリアルであり、「あるあるwww」という気持ちにさせられた。

そして怪盗団の面々も、最初は純粋に正義の心から起こしていた行動が、世間にチヤホヤされるにつれて行動の動機に下心が芽生えるようになり(特に竜司に顕著であった)、曇った目で行動した結果あっさりと敵の罠に嵌められてしまう。こうした非現実的でありながらもリアリティのある人々の心の動きや、「正義とは何か」「目先の利に囚われると視野を狭める」といったテーマは非常に心を動かされるものがあり、それ故に最後の怪盗団復活のシーンのカタルシスはすさまじい。

問題点

さてさて、素晴らしく完成度の高いペルソナ5であるが、いくつかプレイしていて気になる点もあった。

カバーアクションのカメラアングル

怪盗行動時は物陰や壁などに身を隠すカバーアクションができ、カバーアクションで身を隠す→近づいてきた敵に奇襲 という流れが主となるのだが、このカバーアクション時のカメラアングルが非常に見づらい場合があり、せっかくカバーアクションをしても敵が視認できずどうにもならないというシーンが時折あった。カバーアクション中の視界については改善の余地があったように思う。

コープ次第でキャラエンドがあってよかった

無印のGoodエンディングは1種類であり、メインキャラクターである怪盗団の面々が出演するものとなる。しかし本ゲームはキャラゲー要素が非常に強く、自分としてはコープで恋人と決めたキャラクターとの結末がどうなるのか?という点も観たかった。ED前に特定の1キャラを選んでキャラEDを観るという選択肢があってもよかったと思う。

一部ダンジョンが長すぎてダレる

特に最初のダンジョンであるカモシダ・パレスなどは本当に長く、序盤ながらなかなかのダレを感じさせた。ダンジョンの長さはパレスごとにかなりの差があるが、もう少しコンパクトに見せても良かったかもしれない。なおこの点はロイヤルである程度改善されている。

一部コープの内容について

コープの内容はそのキャラクターの内面に深く踏み込むものであるが、一部キャラクターのコープの内容が薄く、いやいやもうちょっとあるでしょ、と思わせるものがあった。

ネタバレ(クリックで展開)
  • 新島真…歓楽街の店でバイトしている生徒「栄子」と真が仲良くなるが実は栄子はホストに騙されていて、それを栄子に伝えるも栄子は信じず…という話なのだが、正直栄子のことはこちらからするとどうでもよく、こちらは真との絆を深めたいのに真が栄子に振り回され右往左往する姿を眺めているだけという印象が強い。もっと姉や家族との話を深堀りするなど、良いアプローチがあったように思う。
  • 大宅一子…記者。当初は怪盗団に関する情報提供をこちらが行い、次第に彼女の親友が廃人となってしまった事件の裏を追う手伝いをすることになる。最終的に都合よく怪盗団の敵と彼女の追う事件の黒幕とがリンクするのだが、基本的に全ての話がBarの中で行われるため協力しているような感覚が薄く、肝心の友人も廃人のまま…とどことなく後味が悪い。
  • 三島由輝…コープ自体は彼自身の内面に深く踏み込んでいるのだが、いかんせん三島自身に不快要素が多い。他のキャラクターのコープが、「コープ相手を悩ませる悪党を成敗してコープキャラからの信頼を得る」のに対して、三島コープは三島自身が暴走し悪党(といっても小悪党だが)一歩手前まで到達してしまう。彼の行動原理は「自分が空気と呼ばれ馬鹿にされないため、承認欲求を満たすために怪盗団を利用する」というものであるが、そもそもそのような人間を改心させてまで協力者にしてもメリットはあるのだろうか?コープの定義は「様々な特技や技能を持つ者たちと信頼関係を築き協力関係を結ぶ」というものであるが、三島は怪盗団のウェブサイトを運営する一介の男子高校生であり、特別な技能をもつわけではない。友人であるから助ける、というと聞こえはいいのだが、それは怪盗団としての力を濫用しているようにも思う。三島は並々ならぬ怪盗団信者のため、広報を全力でやってくれそうというメリットはあるが…。
    まあ、エンディングで主人公の無罪を勝ち取るためのビラ配りをする彼の姿には涙するものがあるので最終的には株を上げるのだが。

その他雑記

良い点悪い点色々書いたものの、間違いなく現時点におけるJRPG最高峰の一角であり、プレイして損はない面白いソフトである。現に私も友人に勧めたりした。しかし…

完全版「ペルソナ5ザ・ロイヤル」

満を持して登場したペルソナ5の完全版たるザ・ロイヤル。新たなコープキャラ2名の追加、無印でスキップされた三学期、発売前スクショで発覚した明智吾郎に関する新要素などプレイヤーの期待を大きく煽った。無印で不評であったダンジョンの長さ、竜司のスキル「瞬殺」、平日夜のモルガナ「もう寝ようぜ」問題など様々な点がプレイしやすいように改善された。新キャラクター芳澤かすみ、丸喜拓人はいずれも非常に良いキャラクターで、特に芳澤かすみについては無印の魅力的な女性キャラクター陣をバッタバッタとなぎ倒す勢いでファンを増やし、現に武見さん一筋であった筆者の心をも揺れ動かした。様々な面で無印の上位互換といって良い素晴らしいゲームに仕上がっているのだが…序文で述べた通り、非常に評価が難しい。ロイヤルについては、良い点悪い点いくつかあるものの、筆者が感じる最も重要なポイント2つに絞って書こうと思う。

無印プレイヤーの期待のハードルを越えることができなかった

ネタバレ(クリックで展開)
  • まず新キャラクターである芳澤かすみと丸喜拓人であるが、良いキャラクターであるにも関わらず出番が非常に限定的。顔出し自体は割と序盤であるものの、かすみについては無印のストーリーを改変できない為か仲間への加入時期が3学期になってからであり、実質的に無印の明智のようなスポット参戦に近い。丸喜についてはコープの中盤までは進められるが、実際にストーリーに絡むのは3学期になってから。
  • 期待していた3学期が短すぎる。3学期の途中、おかしくなってしまった仲間を説得するために主人公が一人一人訪問するシーンがあるのだが、一人と一回会話するだけで丸一日消費する仕様となっており、該当期間中はひたすら自宅→駅→街→会話をしたら1日終了というあからさまな日程消費のスケジュールが組まれており辟易とさせられる。
  • 特に3学期に至るまではごくたまに無印と異なる点があるものの、基本的に同じであるためネットでは「間違い探し」と揶揄された。
  • 3学期のストーリー内容もやや後味が悪い。パレスの主である丸喜は現実世界での人々の認知を書き換え、辛い現実と向き合うのではなくいつまでも平和に皆で暮らしましょうという思想の下で行動しており、怪盗団はこれを「人々の成長の機会を奪ってはいけない、痛みあってこそ人は強くなる」と拒絶。丸喜の行動は独善的としてパレスを破壊する…のだが、「対象の意にそぐわない形で認知を書き換える」という行動は怪盗団のやっている行動と本質的に何ら変わるものではなく、要は対象と程度の違いなのである。対象を悪人への改心に限定しているのが怪盗団、悪人に限らず全ての人間の辛い現実を書き換えようとするのが丸喜。怪盗団のやっている行為は正しく行えば良いのだが、そのハンドルを握っているのは所詮人生経験の浅い高校生たちであり、「誰を裁くべきか」「改心させるべき悪かそうでないか」のハードルは数人の高校生の「さんせーい!」レベルの全会一致で決まる。「独善的?おまえが言うな」状態である。だがこの辺りは筆者に言われずともゲーム内で言及されているので、開発スタッフの意図通りであるとも言えるが、何ともモヤモヤ感が拭えない
  • 明智の3学期での扱い。怪盗団の仲間を含め、ジョーカー以外の全員がおかしくなっているヤバい状況下で唯一「この世界はおかしい」という自我を持っており、精神的に非常に頼もしい…のだが終盤でこの世界が認知によるものだということが発覚し、「あ、やっぱ俺死んでんじゃん」となる。明智は実際、生前かなりの悪事を働いていたため無罪放免で許されるのはストーリー上、道徳的によろしくないのでこの展開もやむを得ないのだが…

不可解なエンディング。終わりよければ…?

いわゆる真エンディングで不可解な点がいくつか存在する。

ネタバレ(クリックで展開)
別れの際の芳澤かすみ(すみれ)の態度がおかしい。

すみれは練習のため主人公の見送りに来ず、新幹線のホームで偶然?主人公と肩がぶつかり「前を見て歩いてくださいね。それでは(ニコッ)」と去っていく。どう考えてもこのそっけなさは不自然であり多くのプレイヤーを混乱させ、「すみれは記憶喪失なのか」「認知上の何かの問題が続いてるのか」と様々な説が飛び交った。そして筆者もこの点は大いに不自然…というか不満であった。

  • まず、すみれも終盤加入とはいえコードネームをもった怪盗団の一員であり、ジョーカー個人とは怪盗団加入前、かなり序盤から関係を築いてきた仲間である。マルキパレスでは文字通り他の仲間と共に生死に関わる困難を乗り越えてきているわけで、練習故に見送りにこない、までは理解できるとしても、普通駅のホームで偶然会ったらもっと「せんぱーい!」みたいな感じにならないか?それを肩をぶつけて「前を見てね、それでは」で去っていくのがあまりにも不自然。他人行儀すぎる。
  • 更に、無印をプレイした多くのプレイヤーは新キャラであるすみれのコープをマックスまで上げ、何なら恋人にしているはずであり、恋人関係におけるすみれの超デレデレの態度から考えるとあのような対応はあり得ないわけで、不自然さに拍車をかける。
  • 恐らくプレイヤーによってコープの進行度に違いがあるため、不自然にならないようあのようなエンディングになったのであろうが、真エンディングを見られる=コープが少なくとも5以上になっている&すみれは怪盗団に入っているわけで、どっちにしろおかしい。
  • またすみれに対するジョーカーとモルガナの対応もややおかしい。元々無口なジョーカーはまだしも、良くしゃべるモルガナもすみれに一言も声をかけることなくジョーカーに目配せだけして無言で去っていく。

と、ここまでくると不自然を通り越して軽くホラーであり、なるほど記憶喪失などの説が出てくることもうなづける。

最後に出てくる明智らしき人物の影

すみれと別れたジョーカーが新幹線に乗り込み座席に座ると、窓の向こう(ホーム)には現実世界で死んだはずの明智と思われる影が…。そして一瞬怪盗姿となる自分にハッとするジョーカー。何かを悟ったような笑みを浮かべて終わり。

…いやいや、この演出は何なんだと。明智はやはり生きていた?それとも明智は死んでてジョーカーの勘違い?顔が見えてないので明智と同じ学校の制服を着た誰か?と諸説あるが、筆者にとっては正直明智が生きていても死んでいてもどちらでもよい。

問題は、それをハッキリさせないままプレイヤーの考えに委ねて本作の真エンディングが終わってしまうことだ。例えばナンバリングタイトルで、もう続編が出ることが明らかになってて、この続きは「ペルソナ5-2」でわかるよ!とかいうのが明らかになってるのであればワクワクもするが、そうではなくロイヤルでこのシリーズのメインシナリオが終わりであろうことを考えると、このようなモヤモヤ感が残る要素は絶対に残すべきでなかった。

筆者の持論ではエンディングというのは物語の最後のデザートであり、食後感はスッキリ口当たりの良いものでなければならない。その意味でロイヤルのエンディングは正直言って最悪であり、途中までが非常に良かったが最後で見事に蹴落とされた、そんな複雑な気持ちにさせられた。

総評

今からプレイするのであればロイヤル一択。そしてロイヤルは、設定とキャラクター、システムが作りこまれた素晴らしい作品で、JRPGが好きなプレイヤーには自信をもってお勧めしたい。無印未プレイヤーであれば、無印プレイヤーが感じた諸々の期待ギャップに悩まされることはないはずだ。しかしエンディングについては今一つで、「ここまできて最後にコレしちゃう?」という印象を抱かされた。そのためエンディングで大幅に減点された。エンディング及びロイヤルの追加要素がもう少し良ければ、間違いなく90点台であっただろう。

ジュドーさん
ジュドーさん
JRPG最高峰のゲームであることは間違いなし!あとは終わりがよければ最高だった…。

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感想(31件)

POSTED COMMENT

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