レビュー

ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション /ゼノブレイド【79点】レビュー・感想

タイトル(かな) ぜのぶれいどでぃふぃにてぃぶえでぃしょん
ハード Switch(DE),Wii
発売日(DE) 2020年5月29日
点数 79点
総評 ・JRPG随一の探索要素、広大なフィールド
・2010年発売Wii版のリマスターながら、色あせない名作
・キャラクターはやや薄め



ゼノブレイド2
ゼノブレイド2【91点】レビュー・感想Nintendo Switch向けゲーム「ゼノブレイド2」の評価・レビュー・感想。ユーザーインターフェースのストレスや随所に説明不足がある感は否めないものの、全体で見れば間違いなく最高峰のJRPG。自信をもってお勧めでき、Nintendo Switchをお持ちの人には絶対にプレイしてほしい一本。...

序文

Nintendo Switchにて発売された名作「ゼノブレイド2」のヒットを受け、次世代機向けにリマスターされた初代「ゼノブレイド」が本作だ。基本的にはリマスターであるためゲーム内容は変わっていないのだが、インターフェースなどに若干の変更が加えられ、より遊びやすくなっている。また、追加要素として後日譚である「つながる未来」が収録されており、メリアが主役級の活躍をするため、ファンにはたまらない要素となっている。

プレイしてみての率直な感想としては…いやあ、本当に驚いた。ディフィニティブ・エディション(以下DE)の発売は2020年であるが、当初のWii版の発売は2010年である。これが10年前のゲームか?と思えるほどクオリティが高い。

よくインターネット上で、「今のゲームはグラフィックが良いだけ。ゲームとしてみれば、昔の方が面白いものが多かった」という意見を聞くが、筆者はそうは思わない。グラフィック以外も年々ゲームの作成技術は進歩しており、いわゆるクソゲーと呼ばれるゲームは格段に減ったし、逆にいま昔のゲームをプレイすると、グラフィック以外も色々とキツくなってくるものが多い。

そんな中でゼノブレイドDEは、令和となったいまプレイしてもほとんど違和感なくプレイすることができる。それだけゲームとしての完成度が高いのだ。本レビューでは筆者がどのようにゼノブレイドDEを感じ、評価したかにつき余すことなく伝えていく。

なお、本レビューの筆者のプレイ環境はDE版であり、Wii版ゼノブレイドではない点はご留意いただきたい。また、本レビューはNew3DS版には触れない。

評価点

リマスターといいつつも、単なるリマスターを超えた美麗なグラフィックをしている。特に主要キャラクターのモデリングが一新されており、さすがにゼノブレイド2と比べれば見劣りするものの、大きな違和感なくプレイでき、十分にプレイに耐えうる。

広大な世界を探索する楽しさは随一

ゼノブレイドを語る上で外せないのが、広大なフィールドを歩き回ることそれ自体がゲームとして成立しているほどの探索の楽しさであろう。ゲーム序盤、狭く暗いテフラ洞窟を抜けた先に広がるガウル平原に初めて足を踏み入れたプレイヤーは、その広大さに、今後待ち受けるであろう壮大な冒険の予感に身震いを隠せなくなる。フィールドもかなりバリエーション豊かであり、緑豊かな草原であるガウル平原、夜になると木々が輝くザトール、アマゾンの密林をイメージさせるマクナ原生林など、ストーリーが進行するにつれ新たな土地に足を踏み入れることで、「ああ、今オレは世界を巡っているんだな」「新しい土地にはどんなアイテムや敵がいるんだろう」という開拓者のような気持ちにさせられるのだ。

ガウル平原ガウル平原。眼下に広がる大地も探索可能だ。

 

マクナ原生林マクナ原生林には大滝。ここから飛び降りることもできる。

序盤のフィールドにもLv90近いモンスターが闊歩しており、「RPG序盤のフィールドはなぜか弱い敵が多い」というお約束をあっさり破ってくれ、「いつかアイツをぶっ倒す」という育成モチベーションに繋がる。あの敵を倒した先には何があるんだろう?という冒険のワクワク感は、他のRPGにはなかなか見られないもので、本作における最も大きなセールスポイントであるといえよう。

不動のゴンザレス序盤のフィールドでもLv90超えのユニークモンスターが容赦なく襲い掛かる。

意外性のある加入仲間

特に序盤~中盤において、パーティに加入する仲間が個人的に読めなかった点は、良い意味で意表を突かれて新鮮であった。お前が仲間になるんかい!

  • カルナ…キャラデザの問題だろうか?黒髪に割と地味目な服の色合いで、どこかのいちエピソードに出演する名前ありモブかと思ったら正式加入。メインヒーラーとして最後まで大活躍をした。
  • ダンバン…剣の達人でありシュルクの師匠・兄貴的なポジションとして序盤から登場。ゲーム開始時に既に片腕が使い物にならなくなっており、シュルクとラインが村を出るときに「後で追いつく」とは言っていたが…まさかまさかの本当に追いついてきた。てっきりスポット的にシュルクたちを助けてそのまま死亡するタイプのキャラクターかと思ったら、メインタンクの一人として片腕で無双している。このようなタイプの加入キャラクターは珍しいといえよう。
カルナ少年の保護者役かと思ってたらまさかの正式加入。

 

ダンバンすぐ追いつく→本当に追いついてきたアニキ。

メリア

ゼノブレイドを語るうえで外せないのがメリアの存在だ。やや地味な顔ぶれが目立つゼノブレイドのキャラクターの中で、銀髪かつ端正な顔立ちのメリアはパーティの華として重要な存在だ。旅の途中からシュルクを意識するようになり、メリアのシュルクへの想いが変遷していくさまはゼノブレイドのストーリーの見どころの一つ。早い話がめちゃくちゃかわいい。

メリアメリア無くしてゼノブレイドは語れず

追加ストーリー「つながる未来」

追加ストーリーのつながる未来も、それなりのボリューム(10時間程度であろうか)があり十分な遊びごたえであった。つながる未来は本編の1年後が舞台であり、ハイエンターの指導者として種族の未来を担う立場となったメリアの成長物語と、ザンザを撃破した後も続く各種族の対立についてどのような向き合い方をし、アンサーを下していくかがメインのシナリオ展開である。元々本編のみではシナリオに若干消化不良なところがあり、ザンザという共通の敵を倒したところで種族間の対立が削除されるわけではなかった。そうした消化不良感を見事に解消してくれる役割を持っている。また本編で飛び去ったきり行方がわからなくなっていた「タルコ」も再登場し、メリアとタルコの関係性についても決着がつく。

またナカマトーク(キズナトーク)のフルボイス化や戦闘のシンプル化など、本編におけるいくつかの遊びづらかった点が改善されており、ゲームとしてもわずかながら進化を遂げている点も良い。

しかし新規加入キャラである2名のノポン族(キノとネネ)が加入直後からLv58と、厳しい戦いを経たシュルクとメリアと同等の力を有する点には違和感。ゲームの都合上やむを得ないとはいえ、ここにはリアリティを持たせてほしかった。

つながる未来ネネとキノはラインとカルナの代替キャラ。重いストーリーに癒しを与える

問題点

キャラの動きやボイスがぎこちない

さすがに10年前のゲームをベースとしているからやむを得ないのか、キャラの走る、ジャンプするなどのモーションがいささか不自然。またイベントシーンにおけるモブキャラの手の動きなども妙におかしく、発言時にずっと手を振り回してたり、単調な動きをずっと繰り返している点がやや気になる。そのため、シナリオへの没入感がやや損なわれる。

また特にシュルクが顕著であるが、ジャンプ時の「え”え”ぇ”い!」といったボイスがモーションに比べて妙に力が入っており合っていない。

また率直な感想として、メインキャラクターの個性が薄いという印象を受ける。シュルクは達観し過ぎておりどことなく人間味が薄いし、ライン、ダンバン、フィオルンなどは非常にいい奴であるのだが、典型的な親友・師匠・幼馴染ポジションであり、どこかで見たようなキャラだなあという既視感をどうしても覚えてしまうのだ。

未来視が面倒くさい

シュルク固有の能力として「未来視」というものがある。未来視はシナリオの根幹にかかわる重要な要素であるが、戦闘においても敵の攻撃を先読みすることができ、活躍する。戦闘時の未来視は、敵が特定の技を使いそうな時などにカットインが入り、数秒先の映像を強制的に見せられ、それに合った対処行動をシュルクがとるというものである。しかし未来視が発動するたびに上述の映像に画面が切り替わるため、スピード感あふれる戦闘のテンポが大きく損なわれる要因となっている。戦闘を止めることなく、画面上のどこかに敵の次の行動が表示されるといったシステムでよかったように思う。

未来視未来視中は操作不能。テンポ面に改善の余地があった。

ややストレスのたまる戦闘

戦闘時に気になった点としては、「背後から当てるとダメージアップ」などの位置関係において強化されるスキルの仕様だ。このようなスキルの存在は歓迎するが、問題は、この位置関係の判定が、スキルの使用時でなく着弾時に行われることだ。このゲームは敵が誰を狙っているかの判定が非常にコロコロ変わるゲームであるから、先ほどまで背中を向けていた敵が突然こちらを向いたりすることもザラにある。したがって、一瞬のスキを突いて敵の背後からバックスラッシュを当てたとしても、そのヒット時に敵が横や正面を向いていたら失敗扱いとなる。リアルと言えばリアルなのだが、ここは単純に、使用した瞬間に背後を向けていればOK,とすべきであったように思う。ゼノブレイド2ではそのような仕様になっており、あちらはストレスフリーであった。

移動速度ジェムの付け替えが面倒くさい

ゲームが進むにつれて、移動速度ジェムアップというジェムが手に入る。このジェムは、フィールドにおけるプレイヤーの移動速度を上げるというもので、探索がメインのこのゲームにおいて極めて有用なものであるため、基本常時装備しておきたい。しかしこのジェムは戦闘時は効果を発揮しないため、強敵と戦う場合はこのジェムの代わりに他の戦闘に適したジェムを装着することになるため、ジェムの付け替えが発生する。この付け替え作業が非常に面倒くさい。移動時は移動速度ジェムつけて、戦闘時は外して…という作業が毎回入る点は明確なマイナスだ。例えば、フィールド探索専用のジェムスロットのようなものがあって、そこに常時移動速度ジェムをつけておけるような形にした方がよかったと思う。

あまりに多いお使いクエスト

クエストの数が非常に多いのだが、これがかなりワンパターンだ。〇〇にいる〇〇を治安維持のために何匹倒せだの、〇〇に使う材料を〇〇個集めろだのが非常に多く、せっかくの楽しい探索を強制させられている感が出てしまう。もちろんストーリー性のあるクエストも多いのだが、それらのクエストも実際の内容はほぼお使いであり、性格上クエストを消化しながらメインストーリーを進めたい身としては、かなりヤキモキした。

クエストクエスト画面。このようにテンプレ化したお使いクエストが多数。

その他雑記

2→1(DE)とプレイをしてみて

筆者はWii版ゼノブレイドを未プレイであったため、ゼノブレイド2を先にプレイし、その面白さに魅了された結果、リマスターとして発売されたゼノブレイドDEをプレイした。したがって、短期間に両ゲームをプレイし比べた身としては、さすがに元が相当前のゲームだけあり、グラフィックや演出、戦闘の面白さなどは2に軍配が上がる。しかし2はややコミカルかつ萌え系に偏った(ホムラやヒカリの容姿、ハナJS,JK,JDなど)グラフィックから抵抗感を覚える人もいると予想され、万人受けするのはゼノブレイド1(DE)の方であろう。それらを含め、総合的に加味したところ、筆者としてはゲームとしての完成度は2の方が高いと思う。ブレイドの存在によるカスタマイズ性と仲間との絆要素、UI等に難は抱えつつも、ゼノブレイドを正統進化させつつ、守りに入らずチャレンジングな姿勢を見せている点が評価できる。

やっぱり似ているFF11

ゼノブレイド2の項でも書いたが、やはりこのシリーズ、FF11に似ている…。芋虫のような敵「エルーカ」はFF11の「クロウラー」や「エルカ」にそっくりであるし(エルカはラテン語で芋虫の意味らしい)、巨人族「オルガ」はFF11の「ギガ―ス」によく似ている。並々ならぬリスペクトを感じる。

エルーカエルーカとFF11のエルカ(右下)。似ている。

 

巨人オルガ族とFF11のギガ―ス族(右下)。やはり似ている。

総評

ゼノブレイド及び ゼノブレイドディフィニティブ・エディション(DE)は、当時としては珍しい半オープンワールド型のRPGであり、その美しい景色と採集要素、点在する強敵の存在など「冒険・探索の楽しさ」を主軸に置いたゲーム性がすばらしい。またシナリオも、最序盤にコロニーが襲撃されたり、人種間の争いなどが描かれたりとシリアス・重めなストーリー構成をしており、随所に伏線や意外な展開なども散りばめられており良い出来であるといえよう。さすがに現行の最新ゲームと比べると映像や挙動がやや見劣りするが、過去の名作に興味があるNintendo Switchユーザーにとってはプレイして損はない作品であるはずだ。

ゼノブレイド2
ゼノブレイド2【91点】レビュー・感想Nintendo Switch向けゲーム「ゼノブレイド2」の評価・レビュー・感想。ユーザーインターフェースのストレスや随所に説明不足がある感は否めないものの、全体で見れば間違いなく最高峰のJRPG。自信をもってお勧めでき、Nintendo Switchをお持ちの人には絶対にプレイしてほしい一本。...

ジュドーさん
ジュドーさん
「2」ほどの衝撃は受けなかったものの、不朽の名作で十分面白い。キャラがちょっと薄いがプレイして損は無し!


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