レビュー

【65点】【超探偵事件簿 レインコード】面白いのに…ロード・テンポに難ある作品 評価・レビュー・感想

タイトル(かな) ちょうたんていじけんぼれいんこーど
ハード switch
発売日 2023年6月30日
点数 65点(佳作)
総評 ・安心感のあるシナリオとキャラクター
・ロード時間が長い
・全体的に不便な仕様が目立つ

序文

「ダンガンロンパ」シリーズが大好きな筆者にとって、その精神的続編である本作「レインコード」への期待はすさまじいものであった。

しかしながら、率直なところ、やや期待を下回る出来であった。勿論引きこまれる点も多々あり魅力たっぷりな作品であるのだが、それを上回る不満要素が噴出し、のめり込めなかったという印象だ。

本レビューでは、「レインコード」の良かった点、悪かった点について感想を述べていく。
なお、配信規約により使用している画像は1章までのものとなるが、ネタバレ要素は2章以降のものも含まれているので閲覧の際は注意。(重大なネタバレ箇所は非表示にしておきます)
また、本レビューは、各DLCをプレイ前を執筆時点としている。

全てを台無しにするパフォーマンス面の問題

いきなりかなり辛辣な話になるが、本作はロード時間がとても長い。本当に長い。

  • 会話イベント、エリアチェンジの度に30秒~のロード時間
  • 「探偵たちとの語らい(2分程度の会話イベント)」を見るために30秒のロード時間、見終わって元の画面に戻るのにまたロード時間
  • 謎迷宮内の推理デスマッチが始まる際に30秒~のロード時間。なお、ラストバトル時の推理デスマッチには誇張抜きで1分程度のロード時間が入りこむ

など、とにかく1回あたりのロード時間が長い。加えて、本作は調査のためにエリアチェンジをする機会が多く、その度に長時間のロードが入る。
この感覚は以前プレイした「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」に近いものがある。

特に推理デスマッチ前のロードは、ただ長いだけでなく、読み込み画面が処理落ちするような挙動になり、初見では「バグでフリーズしたのでは?」と心配する場面が何度もあった。

この画面でいつも処理落ちのような挙動に

全体的にテンポの悪い仕様

パフォーマンス面の問題ではないものの、全体的にテンポの悪い仕様も目立った。

  • オート再生(Lボタン)中にAボタンを押して手動で会話を送ると、オート再生モード自体が解除されてしまう。オート再生を維持したまま手動でも送れるような仕様となっていない。
  • ユーマが自由に行動できる時でないとセーブができない。会話シーンが非常に多いこのゲームにおいて、会話中にセーブできないのはストレス。
  • 謎迷宮が非常に単調かつ冗長。ひたすら長い通路を直進させられるシーンが多く、キャラクター同士の会話(Aボタンで送れない)を聞き終わるまではいくら進んでも物語が進行しないのでテンポが悪い。また、謎怪人とのエンカウントが頻繁にあり、その度に上述した長いロード時間がプレイヤーを待ち受ける。

    長い直線と長いロード
  • ダンガンロンパのクライマックス推理にあたる、「超推理フィナーレ」が冗長すぎる。早送り・Aボタンの手動送りのみならず、Rボタンによるイベント自体のスキップもできず、ひたすらフルボイスで垂れ流すしかない。この超推理フィナーレは事件の導入から結末までをすべてなぞるような形で詳細におさらいしていくものだが、これを見る段階では、プレイヤーは既に謎迷宮の攻略を通じて事件の全体像を十分に理解しており、「もうそれはわかっとんねん!」感のある内容をひたすら10分程度聞かされる時間がかなり苦痛である。誇張抜きで、コンビニに行って帰ってきてもまだフィナーレ中でした、というような長さである。

    ここから始まる「もうわかっとんねん!」の10分

また、これは個人的な好みだが、テキスト全般がやや冗長に感じた。
特に0章のユーマと死に神ちゃんとの会話で、死に神ちゃんに対しユーマが逐一立ち止まり説明を詳細に求めるシーンなどが多く見られ、いちプレイヤーとしては「もういいから先に進んでくれ」と思わせるものがあった。勿論、チュートリアルを兼ねていることは理解しているし、記憶喪失の人間の反応としては理解できるのだが、それを込みにしても冗長さが目立った。

リアルな反応ではあるのだが


これらパフォーマンス・テンポの悪い仕様から、全体的にプレイ中の手待ち時間が多くなってしまうゲームとなっており、後述するゲーム自体の面白い点を台無しにしてしまっているという印象が否めなかった。

シナリオ:後半にかけて徐々に盛り上がるが…

シナリオは全体的に面白いのだが、やや爆発力に欠け物足りなかった。以下、章ごとの個人的な感想である。

ネタバレ注意(クリックで展開)
  • 0章:メインキャラクターと思われた超探偵たちがあっさりと全滅するなど、掴みが良かった。ただし、チュートリアルやユーマのオロオロ・立ち止まりシーンが冗長すぎる印象もあった。
  • 1章:0章がシステム面のチュートリアルならば、1章はシナリオのチュートリアルという印象だった。0章より遊びやすく面白かったが、印象に残りづらい章だった。
  • 2章非常に面白かった。容疑者たちのキャラも立っていること、デスヒコの能力を使った調査方法がユニークだったこと、結末も終盤まで上手く隠されており、単発の事件としても面白いほか、重要人物も登場するため印象深い章であった。
  • 3章終わってみれば物語の本筋にあまり影響しないような内容であり、犯行の動機も火事場泥棒であったりと、1つの章を丸々使うには勿体ない内容であった。
  • 4章:物語としては非常に面白い章なのだが、死に神ちゃんやヴィヴィアの匂わせが強すぎて、早い段階で何となく犯人がメタ的に推測できてしまう点が盛り下がる要因だった。もう少し上手な見せ方で、サプライズ感を演出して欲しかった。
  • 5章真相が明らかになり、しっかりとクライマックスしてくれる満足度が高い章だが、仲間の超探偵が冒頭で行方不明になり事件解決までフェードアウト、という点がやや勿体なく感じた。

    0章。掴みはバッチリ

全体的に面白かったのだが、やはり前述の通り長いロード時間とテンポの悪さが足を引っ張り、せっかくの物語に入り込みにくくさせている要因となっている。また、登場人物(主に死に神ちゃんやヴィヴィア)の匂わせ発言によりその後の展開が予測できてしまい、プレイヤーがあっと驚くような場面がほぼなかったのは残念。

キャラクターはとても魅力的

キャラクターはとても魅力的で良かった。死に神ちゃん、夜行探偵事務所の面々といったメインキャラクターはもちろん、敵サイドのアマテラス社保安部、各事件の容疑者もキャラが立っており、印象深かった。

死に神ちゃん。かわいい。
超探偵たちも魅力たっぷり


一点残念だったのは、アマテラス社保安部の幹部たちが全体的に使い捨てで、一度出てきたきり放置されている点だろうか。このあたりはかなり不自然だったので、全4回のDLCで補完されるのかもしれない。

その他雑記

記憶の断片について

夜行探偵事務所のメンバーたちとユーマとの会話イベント「探偵たちとの語らい」を観るために必要な「記憶の断片」だが、章限定の入手となっているものが複数あり、いわゆる「取り返しのつかない要素」となっている。一応、クリア後にどの章で手に入るかの情報が得られるほか、チャプターセレクト機能で好きな章から開始できるようになるため、取り逃しへの配慮こそあるものの、特にやりこみ要素のあるゲームではない本作では一度クリアした章を繰り返しプレイする動機づけが薄く、前述のロード時間の長さとあいまって、このためだけにもう一度プレイする気にはならない。

近年のゲームはこうした「取り返しのつかない系」は排除する傾向にあるが、本作においても章限定は不要な要素であったと思う。

QTEについて

本作では随所にQTEが見られる。QTEとはいわゆるクイックタイムイベントの略で、画面上に表示されるボタンを素早く押すことによりイベントが進行するというもの。

QTEはどのゲームでも概ねプレイヤーから不評となる傾向があり、これもまた近年では取り入れられないことが多い要素だ。しかし、本作では多くのQTEが実装されている。(イベント内のみならず謎迷宮でも頻繁にみられる)

しかし、やはりというべきか、本作のQTEも(大した難しさではないが)別にゲームとしての面白さを増しているというわけでもなく、やはり不要ではないかと感じた。
謎迷宮内は良しとしても、通常のイベントシーンでのQTEは、イベントに集中できなくなるためなるべく実装しないでほしいというのが本音だ。

血の色

本作でも血の色は「ダンガンロンパ」シリーズと同様にピンク色となっている。
そして、…

ネタバレ注意(クリックで展開)
ダンガンロンパシリーズでは、独特の「サイコポップ」と呼ばれる世界観に沿って、血をピンク色で表現していた。精神的続編であるレインコードも、その流れでピンク色になっているのだろうと多くのプレイヤーは特に疑問を持たず受け入れたであろうが、実はそうではなく、血の色には重要な意味が隠されていることが終盤で明らかになった。

本作では、赤い血をゲーム的表現でピンク色に見せているのではなく、実際にピンク色なのだ。ただし、人間の血は現実世界同様に赤い。血の色がピンク色になるのはホムンクルスという存在の特徴であり、実は、ゲーム内に登場する人物の大半は人間でなく、ホムンクルスだったのだ。

これは、「このシリーズは血をピンクで表現するお約束」というシリーズファンの先入観を利用した見事な叙述トリックだったわけだが、個人的には納得しがたい点もあった。

血がピンク色であることを「降り続ける雨の成分のせい」で納得するカナイ区の面々にも違和感がある(空白の一週間事件を境に、急にピンク色の血が出始めるわけで…。)し、それ以上に、鎖国の外側から来た純人間である超探偵たちが直接的な表現で言葉に出さないのもどうにも…。

伏線は随所にあった(謎迷宮やアマテラス急行内でのユーマの血の色が赤いことや、「雨の成分が血液に作用するという噂もある」といったセリフなど)ので、それに気づくとう~んなるほど、と唸りたくもなるのだが、「なるほど、すごい」と、「いやさすがに無理がある」気持ちが同居しており、イマイチスッキリ感がなかった。

総評

シナリオについては面白かったものの、ロード時間の異常な長さやストレスフルな各種仕様が大きく足を引っ張っており、残念ながら求めていたほどのハイクオリティではなかった。DLCや続編が出たら購入するが、もっと遊びやすくしてほしいと切に願う。魅力的なシナリオやキャラクターがあるからこそ、ゲームとしての面白さについてもしっかり詰めてもらいたいと切に願っている。

ジュドーさん
ジュドーさん
上がりすぎたハードルを越えられなかった感はあるものの、十分楽しめるぞ!

POSTED COMMENT

  1. eee より:

    > 似たようなトリックは「ペルソナ5」の…

    これはペルソナ5をこれからプレイする者として、「ネタバレ」と受け取った(少なくとも、この文言を読んだことでペルソナ5を白紙の状態でプレイすることはできなくなった)

    レインコードは既プレイ済みだったから記事を観たものの、まさかここでペルソナ5のネタバレを喰らうとは思わなかった。ひどい。この一文がなくとも、この文章の意図は伝えられるはず。明らかに文言として不要。

    ネタバレを気にしてブログを書くのならば、せめて「どんなパターンの読者が読むか」くらいは想定して書いて欲しい。すごくがっかりした。

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