タイトル(かな) | ぜのぶれいど2 |
ハード | Switch |
発売日 | 2017年12月1日 |
点数 | 91点 |
総評 | ・美しい世界の探索 ・熱く感動するストーリー ・魅力的なブレイドとドライバー |
序文
天空にそびえ立つ「世界樹」を中心に広がる雲海の世界「アルスト」。アルストができる遥かな昔、人は世界樹の上に住む創生の「神」と共に暮らしていたという。
天空に築かれた豊穣の大地。昼を夜に、雨を晴れにすることもできる理想郷。
人はそこを「楽園」と呼んでいた。
だがある日、人は楽園を追われアルストに移り住む。アルストに移り住んだ人は、その過酷な環境に耐えられず、長く生きることが出来なかった。
やがて人類が滅亡の危機に陥ったとき、憐れに思った神は自らの僕「巨神獣(アルス)」を遣わし、人を救った。僅かに生き残った人は巨神獣へと移り住み、幾万もの昼と夜を共に過ごした。
こうして、人々は巨神獣に国を築くことで生きるようになった。しかし、いつしか巨神獣は老齢に達し、寿命を迎えた巨神獣は雲海へと沈んでいってしまう。
寄辺を失った人々の混乱が世界にひずみを生み出し始めていた――。
主人公のレックスは、雲海から資材や古代文明の遺物を引き揚げるサルベージャーを生業とする少年。現在は故郷を離れ、小型の巨神獣「セイリュウ」の背中の上で暮らしている。
ある日、サルベージャーとしての腕を買われ、沈没船からの物資回収の依頼されたレックスは、船内で「天の聖杯」と呼ばれるブレイドの少女ホムラを発見するが、その直後、サルベージを依頼していた秘密結社“イーラ”の首魁シンによって命を奪われてしまう。
――私の命を半分あげます 私を、楽園に連れていって――
ホムラに命を救われたレックスは、彼女と運命を共有する「天の聖杯のドライバー」として、楽園に連れていってほしいというホムラの願いを叶えるため、
「天の聖杯」をめぐるさまざまな謀略や、国家間の対立などと対峙しながら、世界の中心“世界樹”の上にあるという伝説の地、「楽園」を目指す。
いやはや、とんでもないゲームが出てきたものだな~と。恥ずかしながら筆者はゼノ〇〇シリーズはゼノギアスしかプレイしたことなく、名作と名高い前作「ゼノブレイド」も未プレイであり恐る恐るプレイしたが、瞬時にのめり込めた。それほど感動を覚えたゲーム。
本作のジャンルはいわゆるRPGで、ストーリーそのものは王道展開。主人公のレックスがブレイドの少女ホムラのドライバーとなり一緒に「楽園」を目指すというお話…と、ここだけ聞けば「ありがち」に聞こえるかもしれない。しかし後述の通り、それら王道展開をうまく世界観に落とし込み、驚きあり感動ありの良いストーリーの仕上がりになっている。また特筆すべきはフィールド探索のワクワク感…と話し始めたら止まらなくなりそうなので、早速レビューに進みたいと思う。
評価点
良い点は山ほどあるのだが、レビューするうえで欠かせないほんの一部を紹介。
探索の楽しさ、広大な世界
本作の特筆すべき点がフィールド探索のワクワク感であろう。本作はオープンワールドではないが、エリアごとに非常に広大なフィールドを有しており、探索の雰囲気は「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」に近い。昔ながらのRPGではフィールドというのは町と町をつなぐエリアとしての役割が強かったが、本作はフィールドの探索自体が一大コンテンツとなっており、探索の面白さに魅せられストーリーが一向に進まなかった。美麗なフィールドがしっかり作りこまれており、後述するBGMと相まって高揚感を感じさせる。
- こちらのレベルが10程度の序盤に、フィールドでは平気でLv80超えのモンスターがうろついている。RPGにありがちなストーリーの進行度に応じて都合よく敵が強くなっていく、というご都合主義は(全くないわけではないが)緩和され、序盤のエリアだろうが強い敵は強いんじゃ!というリアリティ要素が感じられる。中にはそのような敵が「通せんぼ」していることもあり、世界の広さと、「強くなっていつかまたここに戻ってこよう」というモチベーションからくるワクワク感が得られる。
- 見つかったら即死するような敵が闊歩するエリアを命からがら抜けた先で見つかる宝箱にレアアイテムが入っていたり、通常ではプレイしないような方法によりたどり着ける絶景ポイントが存在するなど、冒険家のような気持ちでプレイができる。
- フィールドの各場所には、ブレイドの特定のスキルがないと通れない障害物のような箇所があり、ワクワク感と共に、ブレイドを育てるモチベーションにつながる
- 随所に採集ポイントが散りばめられており、ただ歩くだけでも退屈することがない。
緊張感のあるユニークモンスター
更に上記フィールド探索へのスパイスとなるのが、ユニークモンスターの存在だ。
「縄張りバルバロッサ」「悪食のガリル」など見た目からして明らかに周囲の敵よりデカいゴリラや蛙に大層な名前がついているユニークモンスターがフィールドに点在している。これらユニークモンスターは通常のモンスターより一回り強いが、倒せば良いアイテムをドロップすることがあり、避けるか、挑戦するかの選択が求められる。また、「桜花一刀流のダン」など前作をプレイしたプレイヤーからすればニヤリとくる名称のユニークモンスターもおり、面白い。
秀逸なストーリー
ストーリー展開自体は王道なのだが、各キャラクターのバックグラウンドがしっかり作りこまれており、一見不可解に見える行動の背景が徐々に明かされていく伏線の回収具合はなかなか見事。所々のアツい展開は必見。
特に上記のシーンなどは何度も観てしまいたくなる。というか観ている。
BGMがすばらしい
戦闘BGM、フィールドBGM、ムービーでのBGMいずれも素晴らしく、プレイヤーのテンションを見事に上げてくれる。インヴィディアの美しい音楽はぜひ聞いてほしい。
魅力的なキャラクターとブレイド
キャラクターのビジュアルについては賛否両論あるが、個人的にはすごく好き。中でもサブヒロイン枠で登場する「ニア」が声、ルックス、性格すべてにおいてめちゃくちゃ刺さる。ニア以外のメインキャラクターも個性的かつイイやつばかり。主人公レックスの性格も癖がなくていい感じ。中盤~終盤ちょっとイライラするシーンはあるが。
また主人公たち「ドライバー」は「ブレイド」(相棒みたいなもの)と同調することでき、コアクリスタルを使うことでランダムでブレイドが出てくるガチャ的要素があるが、何十種類もいるレアブレイドの面々がどれも個性的。これだけ数がいれば好きな容姿のブレイドは何人か出てくるし、どのブレイドが出るかはランダムなので人によってまったく異なるPT構成となるのが面白い。
奥深い戦闘システム
コマンド選択式ではあるのだが、通常攻撃は一定間隔で自動で行い、プレイヤーはアーツと呼ばれる特殊技を駆使して様々なコンボをしていく。またヘイトの概念があり、高火力の技を連発しているとすぐに敵のターゲットがこちらに向いてしまう。タンク役のキャラクターにヘイトを稼がせ、その範囲内でやりくりしながらダメージを与えていく戦略性がある。また、チェインアタックによりとんでもないダメージを一方的に与えることができる爽快感がある。
外伝「黄金の国イーラ」で完成するストーリー
ゼノブレイド2を語るうえで欠かすことができないのが、外伝「黄金の国イーラ」だ。黄金の国イーラについては別ゲームのため個別の記事で語るが、黄金の国イーラをプレイすることで、本編の登場人物「シン」の行動原理や想いがより深く理解できるようになる。本編→黄金の国イーラ→本編(のムービー)を見ることでゼノブレイド2は完成するのだ。
問題点
…と、ゼノブレイド2は筆者ベタ褒めの素晴らしいゲームであるのだが、好き故にいくつかの気になった点がある。そしてその気になった点が、長くプレイをし続ける上でボディブローのように効いてくるのだ。
ブレイドの付け替えがめんどくさすぎる
まずここが第一。上述の通りフィールドのあちこちには障害物のようなものがあり、通過するにはブレイドの持つ「フィールドスキル」が必要となる。例えば、『この扉を開けるにはこのブレイドがもつ「怪力」スキルが必要ですよ』といった具合だ。問題は、自分がここでいう「怪力」スキルをもったブレイドを持っていたとしても、そのブレイドが控えにいる場合は、わざわざキャラクターに付け替え(エンゲージ)させねばならない点だ。
そして、そこを通過するのに必要なフィールドスキルを持ったブレイドが戦闘でも活躍するとは限らないため、多くの場合はフィールドスキルのために特定のブレイドをエンゲージ→障害物通過→戦闘用の元のブレイドに戻す というのを繰り返す必要があり非常に面倒である。
ポケモンを例に例えると、手持ちのポケモンに「なみのり」が使えるポケモンがいないので、わざわざボックスから新しいポケモンを出して「なみのり」を使って海を渡り、「なみのり」を使ったらまたボックスにしまって…という具合だ。「なみのり」だけならまだしも、ゼノブレイド2のフィールドスキルは10種類をゆうに超えるのだ。ここは控えのブレイドのフィールドスキルからも発動できるようにすべきであった。
インターフェースがひどい
また、メニュー画面をはじめとしたユーザーインターフェース(UI)があまりにもひどい。できることが多いのでやむを得ないのかもしれないが、どこを選べば何ができるかが感覚的に非常にわかりづらく、何十時間もプレイした筆者であっても最後まで使いづらいと感じたままであった。後からアップデートで多少改善されたが、そのころには既に終盤~クリアしているわけで、正直遅いのである。
世界観の説明なし
特に用語の説明が不足しすぎている。中でもストーリーの初歩の初歩である「ブレイド」「ドライバー」という言葉の意味が全く説明されないのは正直驚いた。最序盤にあまりにも唐突に出てきた言葉すぎて、「もしかして前作をやっていないからついていけないのか?」と不安になったほどだ。だが前作にはそんな概念はなく、あくまでブレイドもドライバーも2で初めて出てきた用語であった。確かに、あえて説明不足にしておいて、シナリオの中で徐々に明らかにしていく手法もあるにはある。しかし、その世界における「常識」に関わる名詞については早々に説明すべきであろう。
メツ「あいつはもう…とっくに天の聖杯のドライバーだ」
筆者「(ドライバーってなんや…?)」
戦闘システムの説明不足
また同様に、戦闘システムについても説明が大変不足している。途中でヴァンダムさん等からある程度は教えてもらえるが、システムが複雑すぎる故に全ては無理だったのだろう。
戦闘画面も最初はとても複雑でとっつきづらく、コンボだけでも「ブレイドコンボ」「ドライバーコンボ」「フュージョンコンボ」とあり、キャンセルアタック、属性玉、チェインアタックなど混乱する要素が満載である。意識的に調べない限り、全て理解するころにはもう中盤になっている可能性が高い。このあたりの説明はもう少しゲーム内で親切にすべきであった。
一部のキャラのキャラデザイン→人に勧めづらい
良い点でも述べた通りキャラクターが非常に魅力的ではあるのだが…特に女性キャラクターの服装等が非常に露出度が高く、いやその格好で街をうろつくのはさすがにないでしょ…というレベルに達してしまっている。
- ヒロインであるホムラ、ヒカリは太ももや谷間丸出し
- サブヒロインであるニアは肌の露出こそ少ないが、上下に分かれていないピッチピチの全身タイツのような独特の服装をしており、下腹部がやたら強調され並々ならぬデザイナーのこだわりを感じさせる(上記画像参照)
一人で自宅プレイでニヤニヤするのはいいのだが、このゲーム面白いよ、と人に勧めづらいものがある。
タイガータイガー
TIGER×TIGERというミニゲームが某所でできるのだが、これがやたら難しい。あまりにも難しすぎて途中でEASYモードが追加されたほどだが、それでもそこそこ難しい。
しかもメインキャラクターである「トラ」の最強装備が手に入るためやらざるを得ないのだが、そのドロップ率が非常に渋く、ミニゲーム自体に面白さを見出せない人にとってはただただ苦痛な作業時間が続くことになる。基本的にミニゲームを強制するゲームはダメだ。ミニゲームは本筋とはゲーム性そのものが異なるものであり、RPGがやりたい人にシューティングや格闘ゲームを強制してはいけないのだ。
ナナコオリの育成があまりにもきつい
レアブレイドの一人である「ナナコオリ」の育成があまりにも作業。約10分に1回ナナコオリをレッスンに送り出すためにメニュー画面を開く必要があり、著しくゲームのテンポを削ぐ。そしてナナコオリはレッスンのため常に派遣されているので戦闘に参加させる余裕がなく、レッスンを終わらせるまでに数十時間を要した。数十時間といえば、並のゲームがクリアできてしまう時間である。そしてその頃には既にゲームも終盤、結局使われずに終わることもしばしば。
その他雑記
ところでこのゲーム、国産MMORPGの「ファイナルファンタジー11」に色々似てる点があるんです。具体的には
- 通常攻撃をオートで行い、スキルを適宜使うという戦闘システムがそっくり
- ブレイドコンボが、FF11のウェポンスキルの連携に似ている
- ユニークモンスターの名付け方がFF11にそっくり
- 一部の敵のグラフィックがかなりFF11に似ている
など、FF11をリスペクトして作ったのでは?と言いたくなるほど随所が似ている。なので、FF11にハマった人はまず間違いなくこのゲームもハマる、と思います。
総評
ユーザーインターフェースのストレスや随所に説明不足がある感は否めないものの、全体で見れば間違いなく最高峰のJRPGであり、筆者にとっては2018年時点において「全てのRPGを過去にする」と言ってもいいものであった。キャラクターの容姿が人によっては抵抗を感じるかもしれないが、それでも自信をもってお勧めでき、Nintendo Switchをお持ちの人には絶対にプレイしてほしい一本である。
いつもレビューを楽しく読ませていただいております。
内容について概ね同意なのですが、タイガータイガーについては補足したい点があります。
発売当初こそトラの強化に必須でしたが、その後のアップデートにより、吟遊詩人とチャレンジバトルだけで全ての強化パーツを入手できるようになりました。
よって、こちらの記事が公開された2020年時点では、「ミニゲームを強制するゲーム」とまでは言えないと思います。
コメントありがとうございます。こちらこそありがとうございます。
強化パーツの入手手段が増えたのですね。それは知りませんでした。
私の初プレイ時点と執筆時点とが異なるため、そのようなズレが起きてしまいました。
補足いただきありがとうございました。