タイトル(かな) | ふぁいなるふぁんたじー7りめいく |
ハード | PS4 |
発売日 | 2020年4月10日 |
点数 | 84点 |
総評 | ・旧作プレイヤーは必ずプレイすべき良作 ・戦闘について改善の余地あり ・傑作となりうるかは次回作次第 |
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序文
FINAL FANTASY 7 REMAKE(ファイナルファンタジー7リメイク。以下、FF7R)が発売されるまでは本当に長かった。時を遡れば2014年のPlaystation Experience。プレイヤーの期待を煽りに煽って満を持して発表されたのはリメイクでなく単なるリマスター。多くのプレイヤーを失意のどん底に叩き落した。その1年後、2015年のE3で誰もが諦めていたFF7リメイクの開発が発表された。全世界のFFファンは熱狂し、その発売を待ち望んだ。
しかし蓋を開けてみれば分作であることが明らかとなり、第一作目はストーリー的には序盤に当たるミッドガルまで。しかも開発の進捗についてはほとんど音沙汰がなく、ごく稀に公表される戦闘シーンなどの動画もイマイチな出来、しかもいつまで経っても発売日は明らかにならないなどの不安要素が相次いだ。2015年の発表から約5年、2020年4月にようやく第一作目が発売となったが、5年前のE3で熱狂したプレイヤーたちの相当数が「どうせ期待はずれの内容だよ」と、期待と不安が同居する気持ちで恐る恐るプレイをすることとなった。この辺りの経緯は下記の動画が非常にわかりやすいのでご参考までに。
が、スクエニはやってくれた。下馬評を見事に覆し、素晴らしいリメイクを作ってくれた。美麗なグラフィック、旧作FF7プレイヤーを驚愕させるシナリオ構成。さらに「FF7らしさ」を絶妙に表現した戦闘システム。本レビューでは筆者はどのようにFF7Rを感じ、評価したかにつき余すことなく伝えていく。重大なネタバレについては「+」で隠しているが、閲覧の際には十分に注意!!
評価点
このゲームの評価点を一言に集約すれば「気難しい旧作ファンの期待をほぼすべての点において上回った」というところであろう。これほどまでに発売前に叩かれて、かつその叩きを成果物のクオリティで黙らせた作品は稀有であるといえる。分作であることに対する不満の声はやはり聞かれるが、分作ゆえに今後のストーリーの考察がネット上で多く上がっており、それすらもプラスで働いているような動きを見せている。
旧作プレイヤーをも唸らせるストーリー
本作は国民的RPG「ファイナルファンタジー7」のリメイクであり、旧作FF7と概ね同様のストーリーにて展開していく。しかし、旧作プレイヤーはゲームを進めるにつれ、そこはかとない違和感を感じるようになっていく。そしてその違和感は驚きの形で回収されることとなる。
街の作りこみがすばらしい
PS4の美麗なグラフィックで、ミッドガルの世界観を非常に上手く表現している。ウォール・マーケットやスラム街のようなごちゃっとした場所も、教会のような美しい場所も、旧作FF7ファンの期待以上の出来であるし、旧作未プレイのプレイヤーもぐっと引き込むような街並みとなっている。そして驚くべきは街中にあふれるモブキャラクターたちの「生きている感」。モブキャラクターたちはプレイヤーが話しかけることなく街中で会話をしており、彼ら一人一人にボイス付きのセリフが多彩に用意されており、現実世界の街中を歩いているときに漏れ聞こえてくる会話の雰囲気を本当によく表現している。このような街やモブたちの作りこみが、プレイヤーを深く深くFF7リメイクの世界に没入させていく。
魅力的なアバランチメンバー
旧作では序盤のごく一部にしか登場せず、名前のあるモブ的な存在でしかなかったアバランチの「ビッグス、ウェッジ、ジェシー」が終盤まで活躍。彼らと行動する機会もとても多く、また彼ら一人一人の掘り下げエピソードも存在し、キャラクターへの愛着が湧く。特にジェシーはエアリス、ティファとはまた違ったタイプの美女であり、二人よりもガンガンクラウドへアピールすることからプレイヤー人気も高く、エアリス、ティファ、ジェシーという三大ヒロイン枠が出来上がっている。
蜜蜂の館
CEROの関係などで表現不可能であると思われた蜜蜂の館&某キャラクターの女装イベントが、上手に落としどころを見つけ上手く表現している。女装イベントについては確かに顔はかわいいのだが骨格が明らかに男のそれであり非常に無理がある点がシュールな笑いを誘う。
心配していたボリュームについてもまあ満足
ミッドガル編までの分作ということで、最も懸念していたのがボリューム不足である。実際蓋を開けてみればボリュームは十分、標準的な一本のRPG相当あり、それほどボリューム不足であるとは思わなかった。筆者のプレイ時間でいうとクリアまで30~40時間程度であったと思う。ただ、最近の大作RPGはクリアまで100時間近くかかるものも多くあり(ペルソナ5やゼノブレイド2など)、その点では短いと感じるプレイヤーの気持ちも理解できる。
新キャラクターの存在
旧作にはいなかった何人かの新キャラクターもそこそこの評判。イカれた3rdソルジャー「ローチェ」、ウォール・マーケットのBIG3「マダム・マム」「アニヤン・クーニャン」、新聞記者「キリエ」などは特に人気。
クラシックモード
通常のバトルモードの他に、アクション操作を自動で行ってくれる「クラシックモード」が存在する。クラシックモードはアクション要素がほぼ排除されるため、旧作FF7のようなコマンド式バトルに近い戦闘を行うことができるため、アクションが苦手なプレイヤーからは好評。(筆者のプレイ環境は通常モードで戦闘をした)
問題点
戦闘システムについて
戦闘はやや単調
戦闘、面白いのだがやや単調かなあという印象を抱いた。固い敵に攻撃を与えてバーストさせ、バーストした敵に強い攻撃を当てることを基本的には繰り返すのみ。分作だからかマテリアの種類もまだ少ないので、カスタマイズ性も低く全体的に単調になりがちであった。
属性魔法の格差
今作は属性魔法(ファイア、ブリザド、サンダーなど)が単なる属性の違い以外に着弾スピードが異なるという特徴をもつ。サンダーは即着弾、ファイアも比較的早く敵に着弾するため使いやすい一方で、ブリザド、エアロ(特にブリザド)は魔法が発動してから敵に着弾するまでタイムラグがあり、動いている敵には基本的にヒットしない。(逆に言えば、敵のブリザドも走り回っていればまず当たらない。)さらに敵にサンダーが弱点の機械タイプや、ファイアが弱点の神羅兵などが多いため使用機会がサンダー、ファイアに偏っており明確な格差が生まれている。着弾が遅い代わりに範囲が広いとか、もっと均等に各魔法の使用機会が欲しかったなあと思う。
てきのわざが少ない
敵のスキルを覚えることができる「てきのわざ」というマテリアがあり、旧作FF7では猛威を振るった。旧作では20種類以上ある「てきのわざ」であるが、今作はなんとわずか4種類。アイスオーラなどハードモードで有用なものもあるのだが、この数はあまりにも少ない。FF7の戦闘といえば「てきのわざ」という印象をもったプレイヤーも多かったであろうから、ここは非常に残念。
一部ストーリーの引き伸ばし感
評価点のところでボリュームについて述べたが、一部の展開においてさすがにこれはやり過ぎでは?というくらい引き伸ばしが酷いところがあったように思う。特にチャプター14、レズリーと共に下水道を歩くシーンで、鍵を「どろぼうアプス」に奪われて追いかけまわすシーンの蛇足感は半端ない。あそこが全編通して一番萎えた瞬間であった。
これはどのゲームもそうなのだが、こうした「製作側の意図や都合」が悪い意味で感じ取られてしまうシーンがストーリー重視のゲームにおいて最も悪であると思う。ここのシーンは非常によろしくなかった。
グラフィックがリアル故に違和感を感じるシーンも
グラフィックがリアル寄りになったが故に、ええ…?と思うシーンもなかったわけではない。まず戦闘シーンのガードモーションであるが、大剣を盾代わりに構えるクラウドはまだしも(それでも体がはみ出まくっているが)、ティファなどは腕で頭をかばっているだけであり、それで敵の銃弾や刃物などの攻撃をどう防ぐのかと。機械の敵などは電ノコみたいなもので切り刻んでくる技もあり、そういう技に対するこちらサイドの異様な耐性についてはどうしても違和感を覚えてしまった。
また敵陣に潜入するシーンでは、明らかに見た目が浮いてるクラウドたちに対し周りの神羅カンパニー社員が何も疑問を感じずにスルーしている。クラウドは元ソルジャーなのでまだしも、バレットに対し何も思わないのは明らかに不自然であり非常にシュールであった。
その他雑記
シナリオ改変の賛否
FF7Rは、旧作FF7のシナリオを完全になぞったものではない。随所に改変が施されている。こうした改変に対し、「改変は望ましくない、あくまで同じストーリーを次世代機でやりたかった」という人もいるであろうし、そうした意見も理解できる。しかし個人的にはこうした改変は大歓迎である。「ファイナルファンタジー7リメイク」は、単なるリメイクを超えたエンタメとしてのワクワク感を与えてくれており、次回作(出るよね…?)が本当に待ち遠しい。
エアリス、旧作より胸元開きすぎじゃない?
そんなこともなかった。旧作でも十分開いていた。
で、次はいつ出るの?
ゲームそのものの評価としては考慮しないが、分作であることはさておき、続報が一切ないことはいただけない。「本当に出るのか?」「見込みはいつなのか?」はプレイヤーにとっては最も気になるところであり、ここに関するアナウンスは早期の段階で望まれる。
総評
ファイナルファンタジー7リメイクは、前評判を覆し素晴らしい作品であった。いくつかの改善点や若干のボリューム不足は否めないものの、ミッドガルという街や個性的なキャラクターをほぼ完璧に近い形で描写し、先が気になるストーリーは新規プレイヤーのみならず旧作ファンをも唸らせた。旧作ファンであれば必ずプレイすべき一本であり、そうでないプレイヤーにとっても強くお勧めをしたい。ただし本作を本当の意味で楽しむには、旧作及びクライシス・コアなどの外伝をプレイすることが推奨されるため、時間に余裕のある方はぜひそこからプレイをしてほしい。
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パリピ
戦闘中のカメラ視点の悪さ、ロックオンが使いにくい、マテリアを頻繁に付け替えることが多いのにプリセット機能がない
など、リメイク第一弾のためか粗もかなり目立った。
次回作のリバースではこれらが改善されることを願う。
コメントありがとうございます。
操作の快適性やアクションゲームとしてみた場合の粗はかなりありましたね。
おっしゃる通り、次回作に期待ですね。