レビュー

戦国無双5【48点】レビュー・感想

タイトル(かな) せんごくむそうふぁいぶ
ハード PS4,switch,Xbox One,PC
発売日 2021年6月24日
点数 48点
総評 ・爽快感は進化
・無双ゲーとして当たり前が当たり前にできる点は〇
・「飽き」と「違和感」が課題





序文

「無双」シリーズの代表的な作品のひとつである「戦国無双」。本作はナンバリングとしては実に7年ぶりとなるシリーズ最新作として多くの期待を集めた。舞台は初代「戦国無双」と同様に戦国時代を描いたものであり、織田信長と明智光秀の2名に焦点を当てストーリーが進行していく。筆者自身も、「無双」シリーズは2004年発売の初代戦国無双ぶりであるから、実に17年ぶりとなる。

本レビューでは、筆者がどのように戦国無双5を感じ、評価したかにつき余すことなく伝えていく。もちろん、ネタバレ注意だ。
なお、筆者のプレイ環境はPS4版である。

評価点

「無双」として高い水準、進化している爽快感

最新作だけあり、「無双」としてのポイントは高い水準で抑えてある。画面を埋め尽くす程大量に存在する敵兵がこちらの攻撃の一振りにより発泡スチロールのように吹っ飛んでいく様はシンプルに気持ちよく、エフェクトも派手で、爽快感がある。また、この手のゲームにありがちな「敵が密集する箇所は処理落ちでマトモに動けない」といったこともなく、操作面でのストレスはほとんどないと言ってよい。

敵の描画数は多い。この画像以上に、画面いっぱい埋め尽くされることも。

また、敵の討伐数とは別にコンボカウントも存在している。コンボカウントはある程度意識して稼げば楽に10,000を超え、これもまたプレイヤーに爽快感を感じさせることに一役買っている。

このように表現すると、「無双なんだから当たり前では」と思われるかもしれないが、ゲームのコンセプトを見失うことなく、期待されていることをストレスなく当たり前にできるということは、十分に評価に値するであろう。

さらに、「無双奥義・皆伝」や「協力奥義」の演出はかなり派手。一枚絵は一見の価値あり。

無双奥義の1枚絵は美しく、つい保存してしまう。
協力奥義のカットインも派手。

分かりやすく纏まった無双演武

本作のストーリーモードにあたる「無双演武」は、織田信長、明智光秀の二人の主人公それぞれの視点で、若き日の二人の出会いから「本能寺の変」後までの話が、史実を元にしつつも、とっつきやすく描写されている。

過去の無双シリーズでは、ストーリーの描写不足により、歴史を知らないプレイヤーは「そもそも自分は今なぜこの戦場にいるのか?何を目的に敵と戦っているのか?」を見失ってしまうことがあり、没入感の阻害要因となることがあった。しかし「戦国無双5」では、戦いの前後に挟まるショートムービーがよくできており、プレイヤーに目的意識をもたせることに一役買っている。これにより、例えば、「桃太郎電鉄」で地理や地域の名産を学んだりすることがあるように、「戦国無双5」を通じて(史実とは異なりがあるにせよ)日本の戦国時代に興味をもつことができるようになる可能性がある。

戦いの合間のストーリーはなかなか丁寧。キャラの心情描写が描かれる。

また、「無双演武」の主人公を2名に絞ったことにより、ストーリーの主軸をブレさせることがない点も好印象。初代「戦国無双」では、プレイアブルキャラクターごとにストーリーが用意されていたため、ひとつひとつのストーリーは「5」に比べ薄く、ストーリーごとの整合性もとれていなかった。

「ミッション」の案内が親切でストレスフリー

プレイ中は、進行状況に応じて「ミッション」と呼ばれる小目的が存在する。プレイヤーは、ミッションのクリアにより勝利条件に近づくこと、終了後にミッションのクリア数に応じてアイテム、経験値などのボーナスが得られることから、ミッションをいかに漏れなくこなすことは非常に重要である。

そして本作は、プレイヤーがミッションをこなしやすいようにするためのガイドが非常に親切である。この点は、ストレスなくゲームを進めるうえで非常に好感が持てる。

  • ミッション発生時は、自分の現在地に応じて目的地までのルートがガイドされる
  • 画面上に表示されるミッションの案内文が、制限時間のあるものは「至急」と表示されたりするため、複数ミッションが一度に発生した時に、優先度がわかりやすい
  • 「履歴」画面でキャラクターの会話や戦場におけるガイド文の履歴をいつでも見返すことができるため、ミッションの兆候を見逃すことがない
ミッションの案内はとても丁寧。「今何すべきか」で迷うことはない

他方、一部ミッションについては状況によっては達成が困難、あるいは時間がかかるものがあり、この点はマイナスである。(下記「問題点」を参照)

操作キャラの切り替え機能により効率よく戦場を周れる

大規模な戦闘である「合戦」では、キャラクター選択時に「メイン」と「サブ」の2キャラを選ぶこととなり、いつでも操作キャラクターの切り替えが可能である。この機能により、遠方で発生したミッションであっても、2キャラクターの位置をあらかじめ分散させておけば達成困難になることは少ない。また、操作していない方のキャラクターにはリアルタイムである程度の指示を出せるため、キャラクターを移動させたい場合は別キャラに切り替えた上で移動指示をすれば、自ら移動しなくて済む。「ただ移動するだけの退屈な時間」をある程度カットでき、戦闘に注力できる機会が多く確保されている点が◎。

IFストーリーを描いた「夢幻編」はなかなかのもの

本編のクリア後は、本編の各戦いが史実と異なる結果となった場合の「IF」の姿を描いた夢幻編がプレイ可能。お遊び要素ではあるものの、特に終盤において信長と光秀や浅井長政などが手を取り合って敵に挑んでいく様は、本編の結末を見た後であるとホロリとくるものがあり、十分な「熱さ」を提供してくれる。

夢幻編では「IF」が描かれる。

問題点

では、ここからは筆者の感じた本ゲームの問題点を述べていこう。

「飽き」が早く訪れる

本作、筆者の所感を述べるならば、「プレイ開始後、5時間経過くらいまでが楽しさのピークで、その後はルーティンをこなしているに過ぎなかった」である。
基本的に、標準的な難易度では、「雑魚敵を馬で突っ切って武将だけを倒して戦線離脱する」「敵の集まっているところでコンボ数を稼ぐ」だけでサクサクと話が進み、かつ高評価を取得できる。そしてそれはエンディングまでずっと同じである。無心でボタンを連打しているだけの時間がとにかく長く、ストーリームービーも「無双」にしては充実しているものの、やはり昨今のストーリー重視のゲームと比較すると数段見劣りするため、「ガワだけ変わった似たような戦いを数十時間繰り返した」というのが正直なところであった。では、これら「飽き」の要因を、もう少し深堀りしてみよう。

飽き① いくらなんでも棒立ちすぎる雑魚敵

無双シリーズ共通の課題であるといえるこの点を、本作も継承してしまっている。

いわゆる「武将」(=名前つきの敵)以外の敵は、終盤であっても基本的にほぼ棒立ちであり、プレイヤーがすぐ近くを歩いて通り抜けようが、基本的に何もしてこない。

そのため、プレイヤーは単騎で敵陣のど真ん中にいき、武将だけ倒してミッション達成→次のミッションへ ということが容易にできてしまう。

目の前で大将が斬られているにも関わらず、助けることもなく棒立ちで眺めているだけ。それどころか、自分自身が斬られそうな状況でも逃げるでも立ち向かうでもなくただやられていく雑魚敵の挙動は不自然極まりなく、プレイ感覚としては並べたボウリングのピンを倒すだけの作業、というようなイメージに近い。

「無双」ゆえに、プレイヤーに敵をなぎ倒す爽快感を与えるために意図的に行っている挙動であろうことは理解できるのだが、爽快感よりも「冷め」や「萎え」、「これはないでしょ」といった感情の方が先にくるのが正直なところであり、ゲームへの没入感の大きな阻害要因となっている。

おおーい…。敵、目の前にいますよ。
飽き② 意識的に達成しないと困難な「コンボ評価」S

各ステージの終了後、「クリアまでの時間」「敵の撃破数」「コンボ数」などの各項目でプレイの評価がされる。そしてそれらの各項目をトータルして、総合評価がなされる(最高S)。そしてこのうち、「コンボ評価」の達成が非常に面倒である。評価Sのためには、多くのステージで5000コンボ程度必要であるが、他の各項目と比較してこの5000コンボは意識しないとハードルが高く、他項目がSでもコンボ評価のみBランク、などはザラにある。これにより、以下のような状況が発生する。

  • コンボを繋げるために、既に死んでいる敵をひたすら攻撃してコンボを途切れさせないようにしながら、別の敵がいる場所まで運ぶ作業をする
  • 操作キャラクターを切り替えることによってコンボが途切れるまでの制限時間をリセットできるため、コンボが切れそうになったらキャラ切り替え→少し歩いて、また途切れそうになったらキャラ切り替え を繰り返すことでコンボ途切れを回避できる。これにより、コンボ継続のために無意味なキャラ切り替えを強いられるストレス
  • キャラクター(というか、使用武器)によってコンボの稼ぎやすさが段違いであり、キャラ格差の原因となっている。たとえば「得意武器:二刀」の山中鹿介は手数が多くあっという間に5000コンボ達成できるが、大身槍などの一撃が重いタイプの武器を得意とする武将は、コンボを稼ぎづらい。一応、どのキャラでも好きな武器を使用できるが、それでは個性が薄くなる。コンボ評価のために使用武器を変えざるを得ないのであれば、それはそれでマイナスだ。

コンボ評価のために上記のような作業をすることは滑稽であり、ゲームの没入感を大きく損なう要因となっている。

大身槍を得意とする前田利家は、コンボカウントが稼ぎ辛い。二刀を使ってコンボ数を稼げばこのようにS評価が楽にとれるのだが…。
飽き③ 信長編・光秀編で重複している戦いが多すぎる

この点も非常に気になった。サイドストーリーは除いて、信長編、光秀編のメインストーリーにおける各23個の戦いのうち重複しているものは実に14にも及ぶ。信長編、光秀編でミッションや光秀の心情が描写されるという点でわずかな違いこそあるものの、基本的には同じ戦いであり、上述の「同じことを繰り返してる感」に拍車をかけている。

一部ミッションの達成が面倒

ミッションの中には、【〇〇(敵武将)を、無双奥義・皆伝で撃破せよ】というようなものがある。無双奥義・皆伝とは、戦闘をすることによって溜まる錬気ゲージをMAXにした状態で、ゲージを消費して無双極意を発動することで使用可能となる強化版の無双奥義だ。
しかし、練技ゲージは非常に溜まりづらいため、ミッション発生時には無双奥義・皆伝を使用できないことも多く、また練技ゲージが溜まっているとしても、いつそのようなミッションが発生するかが初見ではわからないため、せっかく練技ゲージを溜めても、使いたいと思ったタイミングで気軽に無双極意を発動することができない。この点はストレスを感じた。

そんな、急に言われましても…。

ストーリー上、時の経過がわかりにくい

本作は、ストーリーが第一章~第六章までで構成されており、各章につき3~5程度のステージが存在するのだが、キャラクターの見た目が基本的に変わらないため、時間経過がよくわからない。第一章から第六章までの間は30年~40年程度あると推察されるが、徳川家康は終始12歳~14歳程度の外見であるし、信長の死後、第六章での羽柴秀吉も10代後半にしか見えない。

  • 大まかに分けて第四章までが「青年期」、第五章以降が「壮年期」と区分される。青年期と壮年期で、信長と光秀のみ外見が大きく変わるが、他のキャラクターは一切変わらないため、違和感がものすごい。
信長は青年期と壮年期でグラフィックが別々で用意されている。画像は壮年期。
一方、家康は何十年たってもこの見た目。違和感がすごい。

ストーリーが一本道ゆえの弊害

本作においては、基本的には史実になぞった一本道のストーリー構成であるから、どうあがいても死ぬキャラは死ぬし、敵大将をボコボコにしようがストーリー上は負けたことになっているし、プレイヤーが物語に影響を及ぼす事象が少ない。基本的にミッションを達成しようがしまいがストーリー展開には変更なく進んでいくため、プレイによる達成感を得ることが難しい。

例えば、IFストーリーを「夢幻編」という独立した章にするのではなく、メインストーリーたる無双演武の各戦いで一定の条件を満たした場合に、本編と枝分かれして話が進んでいくような、そのような構成の方が達成感を得られ、楽しめたと個人的には思う。

例えば、道三が討たれる前に斎藤義龍を撃破していれば道三生存ルートに進んだり、立ち回りによっては尼子を鹿介が救出できたり…。夢幻編でもそのようなIFは体験できるのだが、夢幻編のように「与えられた」IFストーリーでなく、自分のプレイの結果により生じたIFストーリーであれば、史実と異なる運命をプレイヤー自身が紡いでいける楽しみがあったのではないかと思う。

その他細かな不満点

  • 声優の演技はすばらしいが、一部のキャラクターは違和感。特に気になったのは、お市の棒読みと、どう聞いても女性にしか聞こえない半兵衛。
  • 無双演武での「身支度」画面に鍛冶のメニューがないので、キャラクター固定のストーリーで、そのキャラクターの得意武器を鍛えていなかった場合、一度メインメニューに戻らないといけない点が不便。
  • ミッションを失敗したのでその戦いをはじめからやり直したい場合、メインメニューに戻らねばならない。「この戦いを最初からやり直す」モードが欲しい
  • ミニゲーム的扱いの堅城演武が、城の各設備を強化するために実質的にプレイ必須である割に、あまりおもしろくない

総評

うーん、久しぶりのナンバリングタイトルということで非常に期待したし、久々の無双の爽快感はそれなりに味わえたのだが、約45時間のプレイのうち、30時間程度は惰性で続けていたように思う。もう少しストーリー展開の熱さと、敵の行動パターンにリアリティを持たせたうえで、「無双なんだからただ敵をなぎ倒せればいいんでしょ」ではなく、ゲームとしての楽しみを追求してもらえればよかったと思う。次回作にはぜひ期待したい。

ジュドーさん
ジュドーさん
夢中で楽しむためにはもう一声ほしい。キャラ、ステージ、ストーリー展開など、進行度に応じた新鮮な体験を提供できるかが大事だ!




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